【刀剣乱舞】かの瞳は雄弁に語る。 (ページ29)

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二十九柱ページ29

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コンが一枚の紙を持って戻ってきた。

そこに書かれていたのは、大体私が提示した内容で構わないから契約書を作成すること。

そして、誤解のないよう擦り合わせをしたいから明後日の昼に話し合いたいというものだった。

…楽観的に言葉のまま受け取るか。

それとも、罠かもしれないと勘繰るべきか。

「まあ、選択肢的には行くしかないから悩んでも無駄…か」

「審神者様、このお揚げ大変美味しゅうございます」

「…コン、私の今の言葉聞いてて感想はそれなの？」

「私めも刀を向けられ、一度は死を覚悟したのですぞ！」

ああ、やっぱり後者か。

参ったな、早急に解決策を講じなければ。

「結界を身につけていかれる方がよろしいかと」

「…結界って、前任が使ってたっていう奴？」

「…そこまで嫌そうな雰囲気を出されるとは」

前任とは違うことをわかって欲しいというのに、同じ術を使ったら本末転倒な気がする。

とはいえ、自分の身を守るためなのだからしょうがないと言われればそこまでなのだが。

「食事が終わりましたら、練習いたしましょう。縮地ができたならば、会得できるはずです」

「…できなかったら？」

「…会得できるはずです！」

なるほど、安全は保証できないと。

「そういえば、明日の午後は政府に行くんだよね？」

「はい」

「ということは明日の午前中までに結界を作れるようにしないとダメなわけだ」

「そうですね。ですが、審神者様なら本日中にできると思います！」

さり気なく明日の午後の予定を確認しつつ、息を吐く。

結界云々はともかく、乱藤四郎様が来られてもコンと相見えることはない。

空になった食器を洗い、拭いてから棚に戻した。

「では、結界の練習をいたしましょう！」

お揚げをたらふく食べた小狐は、やる気に満ちた顔で私を見る。

対して、私はそこまでやる気を見せるわけでもなく、座布団の上に腰を下ろした。

「結界は、イメージが第1です。強度、範囲、柔軟性…イメージさえできれば多種多様な結界を張ることが可能でございます！」

「…柔軟性？」

「はい。過去の術者の中には、時間遡行軍に向けられた刀を柔軟性の高い結界を用いて流した者もいるといわれています」

刀を傷つける事なく受け流す…最終目標はそこか。

今日は寝れないかもしれないなぁ。

そんなことを思いながら、コンの説明に耳を傾けた。