【刀剣乱舞】かの瞳は雄弁に語る。 (ページ16)

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十六柱ページ16

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刀剣男士は、手入れというものをすることでしか傷は癒えないのだという。

そして、今母屋にいる彼らは大体が重症という折れる一歩手前の傷を負っていられるのだとか。

「人間の施しを受けたりしなさそうだし、出陣、内番なんか以ての外…思ったよりも面倒だよ」

「はい。下手に刺激すれば、殺されてしまいます…」

「…こんのすけは？こんのすけも神様方に敵視されてる？」

「いえ、恐らくですが…危害を加えられる心配はないかと…」

ふぅ、と息を吐いて目を瞑る。

掃除の疲れが溶けていくようだった。

「まあ、しばらくは一人で内番回そう…。畑、馬の世話と…あと何かあったっけ？」

「あとは手合わせがございますが…」

「流石に手合わせはできないな」

庭の景観もどうにかしようと考えながら、風呂から出る。

そして先に言った通り体をシャワーで軽く流して浴室を出た。

「うーん、ドライヤーがないのは困る」

「では、Sanizonで購入致しましょう！」

「…“さにぞん”？」

『Sanizon』は、審神者専用の通販サイトらしい。

本丸に来るためのゲートと同じような機能を搭載しているようで、遅くても1時間以内には玄関に届くのだとか。

「支払いは？」

「通帳からの引き落としでございます！」

…ちゃっかりしてるな。

そんなことを思いながら、こんのすけの後を追って入ったのは一番小さい部屋。

まあ、小さいといっても10畳近くはありそうな部屋だが。

執務用のテーブル、座椅子がちょこんと位置している。

テーブルの上には、マルチディスプレイパソコンとノートパソコン、パッドが並んでいる。

「こちらが、審神者様の通帳でございます」

ポタポタと髪の先から溢れる雫をぬぐいながら、言われるままに通帳を手に取った。

それを何気なく開いて、思わず二度見した。

「…これ、本当に私の通帳？」

「はい。こちらは正真正銘審神者様の通帳でございます！」

「…うわ」

身寄りがなくなってからは、バイトをしてどうにか生活をしていた。

国からの援助があると言っても、マンションの家賃に水道光熱費に食費に…と次々と消える。

高校から専門学校までだって、奨学金を借りて通っていたのだ。

そんな私が見たことのある数字は、せいぜい十万単位が限度。

それなのに、今私の手元にある通帳には見たこともないほど沢山の『0』が並んでいる。

…数えたいけど、恐れ多いような。