十五柱 ページ15
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自分が汚れていると気づいた瞬間からお風呂に入りたくなるのはどうしてだろうか。
少し埃で汚れてしまったこんのすけを見ながら、ポツリと呟いた。
「お風呂入ろうか…こんのすけも一緒にね」
私の言葉に頷いた狐は、トテトテと綺麗になった廊下を歩いていく。
そうすれば、先程綺麗にしたばかりの風呂場に到着する。
浴室には現代のシャワーと浴槽が設置してあり、広さも充分過ぎるほどにあった。
これでも、母屋に比べると酷く小さい物だと管狐は言っていた。
「生活用品一式は必要になると思いまして、勝手ながら購入させていただきました。玄関の方ももうそろそろ届いておられるかと」
「…随分優秀な式神様だ」
着いたばかりの脱衣所を出て玄関に向かう。
そこには、茶色の紙に包まれた大きな荷物があった。
荷ほどきをすれば、寝巻きであろう浴衣にタオル一式、お風呂道具も一式揃っていた。
食材は厨に、玄関にはそれ以外のものが届くらしい。
ネット注文の様なものらしく、あとでこんのすけがやり方を教えてくれるそうだ。
「こんのすけ、おいで」
「はい」
服を脱いで洗濯機に掛けた。
明日着るものがなくなってしまうからだ。
こんのすけを手招きして風呂場に足を踏み入れた。
イスに腰掛け、湯加減を確認しながら膝の上に乗った彼を先に洗う。
気持ち良さげなその様子をみながら、リンスまできっちり終えた。
「先に湯に浸かっていていいよ」
「…あ、あの毛が浮いてしまわれるかと」
そもそも人工のものなのにちゃんと毛が抜けるの？
いや、それ以前にお風呂に入れてよかったのか。
…まあ、彼自身が何も言わなかったから大丈夫なのだろうけど。
「いいよ気にしなくて。上がったら流せばいいだけだしね」
「…ありがとうございます」
風呂が好きなのだろう。
嬉々としてお風呂に入る彼をみて、自分自身を洗っていく。
手早く洗い、自身もこんのすけを抱える様にして湯船に浸かった。
シン、と静まる空気にやっと肩の力が抜けた様な気がした。
背中を湯船に預けて、天を仰ぐ。
自然と細くて深いため息が漏れてしまった。
「手入れが先か、懐柔が先か…」
風呂場に響く私の声は、思った以上に疲れていた。
それに気づいたのか気づいていないのか、こんのすけが私を見上げる。
「…刀剣男士のことでしょうか？」
「うん。といっても懐柔できるとは思ってないけど…ね」
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作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2019年4月10日 21時
