・ ページ46
「てことは、それ誕生日プレゼント？ 」
「うん、スタッフさんとメンバーから」
「あ、メンバーからはもう貰ったんだ」
「グループでお仕事があったからね、その時に」
内心激焦り。
誕生日プレゼントを用意していないわけじゃなかった。むしろ一か月前にしっかりと用意させていただいていた。ただ、今私の手元にはそいつがない。そう、持ってくるのを忘れた。気まずい。
「別に、気にしなくていいよ、」
「え、」
「誕生日プレゼント、どうしようって顔してる」
「えっ」
「……ふふ、冗談だよ。でもほんとに気にしなくていいからね」
年上をからかうでないぞ、という意味を込めて軽く肘で小突いた。
それにしてもやけに遅い時間から誕生日会をするんだな、と。みんなそれぞれの仕事があったのに、他人の誕生日会をするほど元気なのだろうか。
「深夜に誕生日会なんて珍しいね」
「あぁいや、今日はただ康二の家に泊まるだけ。明日そのまま康二の家で誕生日会をするんだって」
仲良いな、ほんと。
「ほい、着いたよ」
「わざわざありがとう」
「ん。目一杯楽しんでおいで」
「遅くまでおつかれさま、良い誕生日を過してね」
バタン、と車のドアが閉まる。そうして間髪入れずに車は発進。夜の深い外は肌寒いから、帆乃花なりの思いやりなのだろう。現に彼は車の姿が見えなくなるまで外に突っ立っていた。
「……良かったの？ 」
「ん？ 」
「あまりにも淡白なお別れだったから、」
「いーのいーの。アイツに気遣われる筋合い無いし」
「…そ、」
多分、多分だけど、それは涼太くんもだと思う。むしろ気を遣ってるのは帆乃花の方で、涼太くんはそんな姉を辛抱強く見守ってるだけ。本当に、優しい子。
「去年はあんなに駄々こねてたのに」
「、去年は去年でしょ？ 私も大人になりましたからー！ 」
「はいはい」
「なーにー？」
「なんでもないですよー」
一肌脱いであげようじゃないの。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 614人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：風呂 | 作成日時：2023年1月29日 15時
