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ピロン。
またLINE。……電話？ 今車の中だしな……。
「帆乃花、康二くんが電話したいって」
「いいよ出な」
「うん、ありがと」
――プルルルルル
『あ、もしもし？ 万ちゃん？ 夜遅くにごめんなぁ？ 』
「いーよ、気にしないで。それで、どうしたの」
『さっきまで舘さんと一緒に居たんやけど、二人のこと聞いたら様子見に行くって聞かんくて、』
「あ、そうなんだ」
『ほな“先”行ってるわって来たのはええねんけど、肝心の“主役”がまだやねん。』
「主役……？ 」
『そうそう、ほんでな？ 万ちゃんなら知らんかなーって思て、』
「……何を？ 」
『何って舘さんやで。あの人、自分の誕生日会なのに全然来おへんねん』
誕生日。
慌ててスマホで日付を確認すると、3月25日の表記。そうだ、今日は涼太くんの誕生日だ。
「えっあっ、今一緒にいてさ、涼太くんのこと送り届けるから、場所！ 場所教えて！ 」
『あ、そうなん？ ほんなら俺ん家に送ってもろてもええ？ 』
「わかった、あとちょっとで着くと思うから、着いたらまた連絡するね」
すっごい忘れてた。失念していた。
ここ一ヶ月の怒涛の過密スケジュールと花粉のヤバさに意識が持っていかれていた。そうだよ、今日は涼太くんの誕生日だ。
「涼太くん、ごめん、お誕生日おめでとう」
「……ありがとう」
「えっ！ あ、日付変わってたんだ！？ お誕生日おめでとう！ 」
「ふふ、ありがとう」
多分、あんなに明日、いや今日のスケジュールを聞いてきていたのは誕生日会に誘うため。去年も別日にやったという誕生日会の概要を聞いて、帆乃花がなんで誘わねえんだ、とただを捏ねていたのが決定打だったのだろう。今年は私たちのことも誘おうとしてくれていたらしい。なんて優しい子たちなんだ。……帆乃花が怖いだけか？
「帆乃花、康二くんの家までお願い」
「康二？ ……あぁ、了解」
「え、いやいいよ、荷物置きたいし俺の家で……」
「ちなみに、曲がり角通り過ぎたからあんたの家めっちゃ遠いよ」
「…………じゃあ康二の家で」
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作者名：風呂 | 作成日時：2023年1月29日 15時
