・ ページ27
「わっ！！！ 」
「おーっと」
「床にもこぼした…」
「こんなこともあろうかと濡れ布巾を用意してました」
「なんか複雑…」
オーブンを余熱しておこうと目を離した途端、盛大にパンケーキミックスをこぼした。まぁ、やるよね。
「あんまりサラサラじゃないけどいいの？ 」
「いいよ。それを型に流してもらえる？ 」
「ヘラのまま？ 」
「スプーン使った方がやりやすいよ」
何回も使える型にしようかなとも思ったけど、結局めんどくさいが勝ったので紙タイプ。カップケーキの型も買ってきたので余ったらそれも作りたい。
「できた！！ 」
「……ごめん、ちょっと多いかも、」
「え」
「6分目までにしないと溢れちゃう」
「早く言って」
その後も空気抜きの途中で型をひっくり返したり、いつの間にか型が変形してたりと色々あったけど、流し込むのは大方終わり。あとは予め切ってくれていたバナナを上に乗せてオーブンで焼けばパウンドケーキの完成だ。
「学生の時だれかにバレンタイン渡してた？ 」
「友だちには渡してたよ」
「そーじゃなくて！ 気になる人とかさ、」
「あー……渡したことないや、そういえば」
「うそ、まじ？ 」
「そもそも気になる人がいなかったのもある」
「え、全部告白されて付き合ってたってこと？ 」
「うん」
「マジで……お前、チッ」
「怖」
「好きじゃないのに付き合ってたの？ 」
「なんか、圧が怖くて」
「私に言えよ〜、そんなん私がどーにかしたのに〜！ 」
「それで帆乃花に矛先が向いたら結局じゃん」
「お前……」
「帆乃花に何かあったら宮舘家総出で殴り込みに来そうじゃんか」
「感動を返して」
「そういう帆乃花は？ 友だち以外に渡してたの？ 」
「……一回だけある」
「えっ！？ 」
「幼稚園の頃ね」
「知らないんだけど……うわぁ、お前可愛いな」
「涼太のおかげでその恋は実りませんでした！ 」
「保護者じゃん」
「そっちはいいよな、放任主義で」
「やめてよ、気まずいから」
「でも帆乃花のほうがモテてたよね？ 」
「そうなの？ 」
「……自分も顔面良いってこと自覚しろよそろそろ」
「この歳になるともうそんなこと考えないよ、一般人だし」
「私の弟なんて自分のこと自分で可愛いって言ってんだからそのマインド見習えよ」
「アイドルを手本に出来るわけないでしょ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 614人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：風呂 | 作成日時：2023年1月29日 15時
