恋。２

それだけの関係 ページ49

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「先輩っ……」



「A…っ…ひろって呼んで」



「ゃっ…ひろっ……」








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この人と身体の関係を持ち始めて三ヶ月。


会社の飲み会の帰りに私が酔っ払って
家まで送ってくれたのがきっかけ。




同じ部署で働いてる私達のこの関係は勿論誰も知らない。
会社内では私達も、傍から見ても、
先輩と後輩の関係、ただそれだけ。









「お水飲みますか？」



「おう、さんきゅ」





行為後冷蔵庫からお水を持ってきて
私のベッドで服を着てる北山先輩に渡す。







「そういや来週また飲み会あるらしいぜ」




「またですか？最近多いなあ」




「川辺さんの歓迎会だってさ。
ま、いいんじゃね？会える口実できるし」




「優希さん何も言わないんですか？
飲み会から朝まで帰って来なくて連絡しないこと」




「最近遠回しでは聞いてくる、
てかあいつのことは気にしなくていいよ」






そう言って煙草に火をつける先輩。
優希さんもそろそろ気づいてるんじゃないかな





「どこであるんですか？」




「目黒のでけぇ居酒屋らしい」




「えっ目黒って先輩の家から近くないですか？」




「そ。徒歩15分圏内、近いっしょ？笑」




「じゃあこの機会にそろそろ
お家に上がらせて貰おっかな？」




「無理でーす来週もAん家でーす」




「言うと思ってました笑」







こうやっておふざけで聞いても
先輩は頑なに私を部屋に上がらせない。



それは関係を持つ前に聞いたことがある。




大勢の飲み会の場で恋愛トークになった時に

'' 俺は絶対に好きな子しか家入らせないんすよ〜 ''



なんて言ったりしてたのをずっと微かに覚えてて。







私達は好き同士じゃない。



先輩は私の事を好きじゃなくて
優希さんという彼女さんの事がすき。


私は勿論彼氏はいない。





私を好きじゃないから
お家に上がらせて貰えないのは当たり前


いつか家に上がらせてもらいたいっていう
密かな願いが胸の内にずっとあるのはどうして？









「なんでそんな俺ん家に毎回行きたがんの？笑」




「え？な、んででしょう…？
あっゲーム感覚なのかも、ひたすら言い続けて
もし上がらせてくれたときは私の勝ちだ！って」




「どんなゲームだよ笑。

俺に本気になんなよー？笑」




「わかってますって、それ何回も聞いた笑」







本気になったらこの関係は終わる。


だから自分の気持ちに正直にならない、つもりだった。



続

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