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伊野尾「とりにきたよ〜、」
「あ、裕翔くん、伊野尾さん来ました」
中島「あ、先輩!おはようございます、」
「私運びますね、」
この前と同じように、パンをタクシーまで運ぶ。
それにしても、伊野尾さんの車椅子の使いこなし方に感心だ。
伊野尾「車椅子、すげぇなって目で見てんね」
「ゲームみたい … って、失礼だったね、ごめん)
伊野尾「んーん、全然、俺車椅子で生活してることになんのコンプレックスもないし、」
「そっか…」
強いね。そう零れそうになった言葉を、なんとなく飲み込んだ。
伊野尾「Aさんってさ、」
「…ん?」
伊野尾「… うーん、変なこと聞くんだけど」
「うん … 、」
伊野尾「俺と会ったことある?」
「へ?」
伊野尾「この前、Aさんが夢に出てきたんだよね、」
「私が夢に?」
伊野尾「そう、俺、高校の頃バスケ部だったんだけどさ、最後の試合の夢見て、」
「うん…」
伊野尾「そこにいたの、」
「へぇ … 、変なの、」
伊野尾「偶然かなぁ…、」
うーん。って考える伊野尾さんが、高校のとき、勉強中に答えを考える慧と重なって、心臓がきゅっと締め付けられた。
「…偶然だよ、きっと、」
伊野尾「まぁ、そうだよね、大ちゃんの彼女さんだからかも」
「おなじ部活だったの?」
伊野尾「うん、俺のライバルだった … ま、大ちゃんの方が全然上手だったけどね〜」
「…っ、」
そんなことないよ。そう言いたかった、慧は間違えなくあの時チームのエースだったから。
でも、その言葉は、当たり前だけど飲み込まなきゃいけない。
伊野尾「じゃ、今日もありがと、」
「またね、」
伊野尾「うん、また」
そう言って、タクシーに乗って去っていった。
「またね … 、」
伊野尾さんに会う度に、泣いてしまうのは。
きっと神様がくれたチャンスの代償だ。
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作者名:莉音 | 作成日時:2019年1月9日 11時