甘く苦いブラックコーヒー 2 (ページ12)

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#49 ページ12

有岡「…うん、」
｢知ってたんだ…｣

大貴って、一体どこまで知ってるんだろう。
ふと、怖くなってしまうくらいだ。まさか、裕翔くんの奥さんが梨子ちゃんだってことも知ってたなんて。

｢なんで言ってくれなかったの｣
有岡｢言っても、Aのためにはならないし…｣
「…、｣

大貴が私のために、隠してたこと。それを責めることは出来なかった。これが大貴なりの優しさなんだ。

ピンポーン。

重苦しい空気の中、チャイムが鳴った。

｢っ… 、裕翔くん｣
中島｢話がしたいんだけど … いいかな、｣
｢もちろん、入って？｣

有岡｢裕翔…｣
中島｢先輩は出ていってください、｣
有岡｢え？｣
中島「出ていってください。」
有岡｢…分かった｣

裕翔くんの迫力に、大貴は何も言わず出て行った。

中島｢この間はごめんなさい。俺、混乱してて…｣
｢いや、私こそごめんなさい。梨子ちゃんのこと、傷付けたのは私だから…｣
中島｢そのことなんだけど。｣
｢うん…？｣
中島｢俺も、混乱してて、何が本当で何が嘘かわからなくて。でも、梨子が言ってることは本当だと信じたくて。｣
｢…、？｣
中島｢もし、梨子が言ってることが本当なら…｣

｢え…？｣

中島｢だから何か知らないかなって…思ったんだけど、｣
｢知らない…私は何も知りません…そんなの…嘘です…｣
中島｢嘘だったら…いいんだけどね｣

裕翔くんが言ったことを信じるなんて。

私には無理だ。