6love ページ6
「……あっ、あぁっ！……すみませんっ…！」
照れては居るけど別に私がどうこう言っていい立場
でもないし、無理に相手の拒む事をする必要性もない。
「………別に謝れなんて、…言ってねぇし…っ……、」
地味にまだ照れ気味の拓弥先輩は
どことなくまだ俯いて硬直している気がする。
必死な抵抗、やっぱりなぜか萌える。
いや、真面目な話。この人、相当な“ツンデレ”だ。
………いや、間違いかな。…ツンしかない気がする。
この数分でも分かる相手の性格。
だから、デレが珍しいのだと思われる。
「……百瀬…っ、」
「……ふぇ？あっ…、はいっ…！」
「今日はその、…ありがとな。」
急に呼ばれたかと思ったら今までの怖さ全開の
低い声や、強張った表情はなく、
優しく微笑む彼の姿があった。
「………い、いえ…こちらこそっ。」
「百瀬、…連絡先。」
早く貸せよ、とばかりに腕を伸ばして
私をさっきとは違う瞳で見つめる。
「別に、深い意味とかないから。
…じゃ、」
と一言呟いて私に背中を向けて
校舎へ走り出す拓弥先輩。
綺麗に真ん中に分けた前髪が
ストレートな髪がふわふわと揺れて
走り抜ける。
ﾋﾟｺﾝっ
『………礼は言ったけど、お前に怒鳴られたこと、許してねぇからな』
たった一文。
初めて交わした連絡がこれ。
有り得ないような、でもどこまでも塩な対応に笑いさえも
捉えてしまった。
意外と、根に持つタイプな拓弥先輩。
………私がなにか責められるのか？
矛盾はしていたけど別にそこまで嫌な気はしなかった。
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作者名：れんちゃむ | 作成日時：2017年8月27日 0時
