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「………あの…、遅刻…しますよ………?」



肩の横から顔をひょいっと突き出して声をかけた。
でも、彼の反応は………



「…………。」



「……え、?あの、遅刻、してるの気づきませんか?」



声が聞こえてないかのように私の言葉を無視し続ける彼に
もう一度、と思い少し大きな声を出して言った。


………でも、彼は何も返して来ない。




……あ、イヤホン。





この人、イヤホンしながら音楽聞いてたんだ。
そりゃ、聞こえるはずがない。でも…



私は彼の左耳のイヤホンを無理矢理引っこ抜いて
叫んだ。




「遅刻っ!!……するって言ってるじゃないですかっ……!!」



いくらイヤホンをしてたからと言って人が親切に声をかけて
あげてるのに、とついムカついて怒鳴ってしまった。




彼は一瞬
ハッと驚いた顔をしたがすぐにこっちを見て


眉に力を入れてあからさまに私を睨む。




「は?……何、お前。」



こっちを向いた彼はとてつもなく綺麗な顔立ちをしていた。

 

くっきり二重にすーっと通った鼻筋。
凛々しい眉毛に、少しぷくっとした唇。


白い肌がその一つ一つのパーツをより、引き立たせていた。




男の人にこの言葉は余り言わないけど
“美しい”それが一番に感じた事だ。





「何じゃないでしょっ?あなた、このままだと普通に

 遅刻して、反省文書く事になりますよ?!」





私の言葉を聞いて彼は自分の腕に着いた
腕時計に目を向けて、ハァ…と溜息をついた。




「………お前こそ、急がなくていいのか?」


「いや、でも気づいてないなら教えてあげた方がいいかなぁ……と


 ………思いまして…、、、はい……。」





急に言葉を返してきたかと思ったら当たり前過ぎることを
未だ、眉を潜めて私に言う。



「……あっそ、」



そう言って吐き捨てるように呟くと前を向いて
少し早歩きをして私を置いていく彼。



声をかけたのに、その態度…、



ハァ…と私も溜息をつくとスタスタと歩き出した
彼がピタッと止まった。




「………お前も、居かねぇのか?」


「………えっ?あ…、はいっ!」



すぐに彼の方へ駆け寄ると



「あんま、近寄んな。」


って小声で言って歩き出した。

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作者名:れんちゃむ | 作成日時:2017年8月27日 0時

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