標的34 俺はお前の大切な人−１ ページ43
トーマ視点
「大丈夫か？」チェルベッロが主君の勝利を宣言して、主君達がほっと安堵している中。
ボクの代わりにベルフェゴールの回し蹴りを受けた山本に声を掛けた。
山本は にかっと優しく微笑んで、「大丈夫だぜ」と答えた。
ベルフェゴールの蹴りが弱い筈が無いのだけど、本当にあまり堪えていない様でほっと胸を撫で下ろした。
山本には先に主君達の元へ戻って貰い、ボクは気絶しているザンザスの隣で座り込むベルフェゴールの元へ行く。
敗北は王子のプライドが許さないのだろう。
ベルフェゴールは俯いたまま、何も反応を示さない。
ボクはベルフェゴールの正面にしゃがみ、彼の手を封じている氷を溶かした。
｢……なあ。あの林檎被ったガキは、姫の最も大切な奴なんだろ？
山本武は同じ守護者で……俺は姫にとって、何だった？｣
嬉しそうだったり不機嫌だったり。
そう云うベルフェゴールは見て来たが、哀愁を漂わせて空っぽになっている彼を見た事が無くて、どう返答すれば良いのか戸惑う。
でも、嘘を吐くのも『トーマ』として話すのも違う気がして、ボクはフードを外した。
「ベルさん」あたしが呼ぶと、ベルさんが徐に顔を上げた。
｢あたし、ずっと山奥に住んでたんです。
フラン君以外の人と話した事も無かったし、何も知らなかったんです。
でも、ベルさんが声を掛けてくれたから、あたしは今此処にいます。
最初は人の話聞かないし、変な人だなって思ってましたけど、話してて凄く楽しいって思いました。それに、久しぶりに商店街で会った時も、喜んでくれたの嬉しかった。
ベルさんも、あたしの大切な人の一人です｣
ベルさんが『姫』と呼ぶあたしに執着していた事は、何となく気が付いていた。
それを不思議には思うけれど、あたしもベルさん達と仲良くしたい事は同じだから。
敵対してしまったけれど、それは伝わって欲しい。
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ゆきな(プロフ) - これからも無理せずに頑張ってください！ (2019年7月2日 18時) (
レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - 続編おめでとうございます！いつも楽しみにしております！これからもどうぞ無理をしない程度に頑張って下さい。 (2019年4月27日 13時) (レス) id: 1e9e5f7638 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイチェル | 作成日時：2019年4月27日 10時
