標的32 絶対させねぇ−１ ページ38
山本視点
体育館に入ると、既にポールは倒されていた。
「此方だぜ」と声がした方を見れば、ベルフェゴールとマーモン、天井に吊るされた髑髏がいた。
トーマの姿は無い。
｢おい、トーマは何処だ？｣
｢何処でしょーか？
正直に答える訳ねーじゃん｣
「ししし」ベルフェゴールは口角を釣り上げ、俺達を挑発する様に笑んだ。
ぎり、と歯軋りをする。
隣の獄寺は舌打ちをした。
トーマの安否が分からない。
それでも下手に手を出せないのは、人質に髑髏がいるからだ。
俺達の持っている指輪を渡さなければ髑髏を殺すと脅すマーモン。
猛毒のせいで息も絶え絶えの髑髏の額に、ほらほらとベルフェゴールがナイフを宛がう。
仕方無く俺は髑髏の解毒と引き換えに、ベルフェゴールの指示通りこの場から二つの指輪を転がした。
髑髏が解毒されたのを確認し、時雨金時を蹴り上げてベルフェゴールを仕留め、マーモンの首に刀を向けた。
しかし、彼奴らはマーモンの幻覚だった。
今まで俺達がいた場所に、本物のベルフェゴールとマーモン、髑髏がいた。
「トーマ！」ベルフェゴールに抱き抱えられている人物に、俺は叫ぶ。
しかし、トーマは何の反応も示さなかった。
｢トーマさんに何しやがった！
答え次第じゃ唯では済まねーぞ！｣
｢『彼女』には僕の幻覚が効かないみたいでね。
少し眠って貰ってるだけさ｣
｢『彼女』って、お前ら、まさか……｣
｢余計な詮索はしなくて良い。
さあ、残りの指輪も渡して貰おうか。
言って置くけど、幻覚を見ている君達には何の権限も無いんだよ｣
体育館中に三十人以上のマーモンの幻覚が現れる。
それらはフードの中から触手を伸ばし、俺達の手足を拘束した。
腕を締め付けられ、獄寺の手から残りの指輪が零れ落ちる。
マーモンはそれを拾うと、触手で俺達の首を絞める。
幻覚だと頭では分かっていても、首に激痛が走る。
息が出来ない。
俺は下がっていた顔を上げ、トーマに視線を送った。
大切に抱き抱えられているトーマはぴくりとも動かない。
本当に唯眠っているだけなのか、不安になる。
俺の視線に気付いたベルフェゴールが、見せつける様にトーマを更に強く抱き締めた。
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ゆきな(プロフ) - これからも無理せずに頑張ってください！ (2019年7月2日 18時) (
レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - 続編おめでとうございます！いつも楽しみにしております！これからもどうぞ無理をしない程度に頑張って下さい。 (2019年4月27日 13時) (レス) id: 1e9e5f7638 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイチェル | 作成日時：2019年4月27日 10時
