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手を繋いで歩いた。
こんなにも堂々と2人で外を歩くのは初めてだった。
私の真っ赤に染まったワンピースも、尚大くんの闇に沈んだ瞳も、夜の雨は私たちにとって不都合なことを全部隠してくれる。
陽の差す道を歩けなかった私たちに降り注ぐのは月でも星の光でもない、電球の切れかけた外灯だけで
その光は尚大くんの横顔を青白く、綺麗に照らした。
この川縁をずっと歩いていけば海に辿り着く。
夜が明ける前には、間に合うだろう。
｢Aと出会ったのも、この川沿いだったね｣
｢そうだっけ？同じような道がずっと続いてるから分からないや。
あの時は自分がどこにいるのかも分かってなかった｣
｢そっか。でもあの時、俺はAと出会えて良かったと思ってるよ｣
尚大くんが、繋いだ手をぎゅっと握る。
もうすぐ、私たちの暮らしが終わろうとしている。
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作者名：ベルカ | 作成日時：2023年3月21日 0時
