終ー“兄妹”、出会いの場所へ。 ページ18
{五条Side}
東京駅に着いて、新幹線に2人で乗る。
車内アナウンスの中、彼女が口を開いた。
A「いい加減この状況を説明してもらえません?」
『Aが海外行くから寂しいな〜って。』
A「それだけ?というか任務は?」
『任務はあるよ。』
A「特級2人が必要な任務?」
彼女は失笑する。
『そうだね。だけど、この任務は呪詛師案件だから。』
A「なるほど。」
『そ。でも安心して、任務は今日のうちに終わる。後の二日は大阪観光ね。』
A「観光?私大阪住んでましたけど?」
『そんな事は気にしない!さあ、駅弁食べよう!!』
予め買っておいた駅弁を彼女に渡す。
A「え、やった!!」
僕の横で目を輝かせながら駅弁を開ける彼女は、何処にでもいる女子高生のように見えた。
*
僕とAが初めて出会ったのは、彼女が6歳の時。向こうは覚えているかな。
実家から、分家の娘に会いに行けと言われたのがきっかけだった。
彼女は、俺の二つ下の後輩の寺谷瑠奈の従姉妹でもあった。
Aを一目見た瞬間、悟った。
『(この子は、強くなる。)』
と。
六眼を持ち、最強の術式を持った人間。
その時既に、術式の半分を会得していた。
それ故、Aは呪詛師から常に狙われ続け、その首には、昔の僕と同じくらいの懸賞金が懸けられていた。
だから、その後よく大阪を訪れて、彼女の稽古に付き合った。彼女を強くするために。
時は流れ、瑠奈は死んで、Aは一年間意識不明になった。そして目覚めたAが、高専に入学する。
高専の日々の中で、数々の試練を彼女は苦しみながら超えて、強くなった。
そんな彼女を見ていると、彼女になら、任せてもいいのではないのかと思った。
僕の描く未来を、仲間と共に任せても。
A「やっぱり何かがおかしい。気をつけてよ。」
野球大会の後に言われた言葉を思い出す。
僕は最強。だから、万が一なんて起こる筈はない。
それでも万が一、万が一何かがあったら。
悠仁のことは誰が守る?
頼れるのは、彼女しかいない。
僕が伊地知を脅してAと大阪に来た理由、それは。
一つ、彼女との出会いの場所を訪れるため。
二つ、彼女と二人で、じっくり話をするため。
僕は、これから未来を託そう。
そして、真実を話そう。君の祖先の死の真相を。
優秀な呪言師の許嫁であり、時を操る君へ。
152人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:澪花 | 作成日時:2021年1月7日 19時