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朝方、まだ陽が上がる前。家に戻ると部屋の電気はついたままだった。体中にまだ禄朗の匂いが沁みついて残っている。体の奥もじゅんと潤ったままだ。あれからもう一度抱き合って食事をし、連絡先を交換し合って別れた。
禄朗の出発はまだ未定だが、日本での準備が整い次第向かうということだった。それまでに片付けなければいけないことは山積みだ。仕事も辞めなきゃいけないし、明日美とも話し合わなければならない。
優希の勝手に振り回してしまうことは申し訳ないけど、もう二度と禄朗と離れたくはなかった。
「……優希?」
ふいに寝室から声がして、明日美が姿を現した。
「あっ……、起こした?」
「ううん」
フラつきながら歩いてくる明日美の目の下にはくっきりとクマができている。あまり眠れていなかったのだろう。優希の元へたどりつくと強く抱きついて声を震わせた。
「よかった……っ、帰ってきてくれた……」
「ごめん、心配かけて」
「本当に、心配したの。何かあったのかと思って……連絡も取れなくて……怖かった」
腕の中の明日美は少しやつれたようだった。帰れないと連絡を一本してあげればよかったと申し訳なく思う。
「ごめん、余裕なくて、連絡できなくて……」
肩を震わせ優希から離れない明日美の背中を撫でながら、どうやって別れを切り出そうかと考えてしまう自分はなんて冷たい人間なんだろう。
明日美との間のずれは一気に生じ、取り返しのつかないところまで来ている。
「ごめん」
「優希……っ」
とりあえず落ち着かせようと明日美の肩を抱いた。禄朗と違って細くて柔らかい女の体。数日前までたったひとりの大事にしていた妻の体が、今はとても他人のものに思えてしまう。
「ごめんね、ぼくは大丈夫だから……落ち着いて?」
「……っ」
なだめるように抱きしめながら寝室へと連れていく。興奮が落ち着くまで、ベッドで添い寝した。静かな寝息が聞こえてくるまでは、そんなに時間がかからなかった。
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モノモノ(プロフ) - 花奏さん» 普通に続きますよ。この後も悲劇の連続なので、書くのが苦しいです(>_<)でも頑張って続き書いていくので、よろしくお願いします! (2021年4月12日 7時) (レス) id: 995658f693 (このIDを非表示/違反報告)
花奏(プロフ) - これ続きますよね、?深夜ながらに泣いてしまいました……。とっても素敵に物語が動いていて、私の心情が左右しまくっています! (2021年4月11日 23時) (レス) id: ed1d1a00c3 (このIDを非表示/違反報告)
モノモノ(プロフ) - 夜市さん» わざわざ感想ありがとうございます。情景描写の書き方は今でも尚苦戦します。亀更新になりますが、よろしくお願いします。 (2021年4月7日 22時) (レス) id: 995658f693 (このIDを非表示/違反報告)
夜市 - 情景描写や心情の表し方がとても繊細で、素敵な話ですね。お体に触らぬ程度に更新、頑張ってください。 (2021年4月7日 14時) (レス) id: 5befe0aadf (このIDを非表示/違反報告)
モノモノ(プロフ) - 花奏さん» 感想ありがとうございます。明日美ちゃんが可哀想になってきたけど、頑張って更新したいと思います。 (2021年3月10日 8時) (レス) id: 995658f693 (このIDを非表示/違反報告)
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