【九条天】なぜか天使に好かれました【アイナナ】 (ページ39)

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39：子猫ちゃんページ39

朝は天気がよかったのに、バイトが終わって家に帰るころには土砂降りの雨が降っていた。
もちろん傘は持っていないのでバイト先で傘を借りて家に帰る。

すると、うちの前で座り込む、人影を見つけた。

「天？」
「A」

名前を呼ぶと、天が顔を上げる。
彼の髪は濡れていた。髪だけじゃないけど。

「なにしてるの、こんなところで」

うちのアパートは人が少ないからいいけど、変装しないとバレるよ。

「傘は？」
「持ってない」

こんな大雨の日に？
まあ、そういうわたしも借りてきたんだけど。
アイドルなんだし、どこかで貸してもらいなよ。

「雨が降ってきて。Aの家が近かったから」

天はわたしを見上げた。またのその目か。
世間では小悪魔とか言われてるんだよね、君。
一度は騙されたけど、もうわたしには通用しないよ。

「かわいい子猫の真似でもしてわたしに拾ってもらう作戦か？」
「拾ってくれるの？」

嬉しそうな顔しないで。

「家に帰ったら？」
「Aは鬼だね」

はい、鬼です。
家に入りたいんだけどなあ、と思いながらも、天が座り込んでいるのでどうすることもできないでいると、彼が小さくくしゃみをした。男のくせにわたしよりかわいいくしゃみをするんだから。

「・・・風邪引くから中に入って」
「大好きだよ、ご主人様」

やめろ、鳥肌が立つ。