お別れの時間 ページ46
「……」
アズールは自室に帰ると、そのままベッドの膨らみの様子を見る。
すぅすぅ、と寝息を立てて、Aと添い寝をする幼い姿のアズールジュニア(仮)。
「……ジュニア、起きなさい」
「んん……パパ……？」
「お別れの時間ですよ。挨拶くらいはしないと」
「……うん」
ジュニアがそっと小さな体を起こすと、釣られたようにAも目を覚ます。
ぼんやりと眺める彼女を、大きな手と小さな手が同時に撫でる。
「んん……何？」
「おはよ、ママ」
「Aさん。そろそろ」
「……そっか」
「……パパ……ううん。大きくなった僕」
「わかってたんですね」
「うん」
「何ですか？」
「……今、幸せ？僕は、間違ってなかった？」
「そう……ですね……痛い目には遭いました。契約書を全て砂にされる、なんて」
「え！？」
「でも、大丈夫。僕は幸せですよ｣
「本当？」
「えぇ。契約書に頼らずとも、お前のしている努力は、決して、無駄ではない。突き進むと良い」
「……ママが居るからかな」
「え、私？」
「うん。ママのおかげ」
「……否定はしませんよ。番がいるという事が、こんなに幸せとは思いませんでした」
「そっかぁ……僕の未来の奥さんは、素敵な人なんだね」
「素敵……かなぁ？」
「うん！……最後に、お願いしても良い？」
二人の手を掴もうと、小さな手が伸びる。
二人が優しく握ったその手は、ふにふにと子供らしく柔らかく───半透明になっていた。
「……っ……はい」
「良いよ、言ってごらん？」
「ありがと。えへへ……ギュッてして？」
身体の半分を半透明にするジュニアは、そう言って笑う。
涙をぽろぽろと零しながら、Aはジュニアの身体をひしと抱き締める。
「うん！うん！ありがとう、ジュニア……！」
「全く……僕からも感謝しますよ」
冷静に告げるアズール。
二人を纏めて抱き締める腕には、痛い程力が籠り、手は微かに震えていた。
「パパもママも泣き虫だなぁ……」
「ふふ、そうかもしれません」
「ごめんねぇ……情けなくて」
「ううん……っ……大好き！短い間でも、僕の事をいっぱい愛してくれて、ありがと……──バイバイ」
腕の中から、光の粒となって消えるジュニア。
銀髪も、青い瞳も、ふにふにとした柔らかい、子供らしいその姿も、跡形もなく消えてしまった。
「お別れって、こんなに辛かったかな……？」
「……大丈夫。幼くとも僕ですから」
「……くよくよ、してられないな」
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とある誰かの作品倉庫(プロフ) - 茨の國のぼっちさん» ありがとうございます！！！もう願望詰め放題パラダイス(？？？)な自己満作品なのですが、喜んで頂けて泣いて喜んでおります！！(セベクボイス)結構お話も長いと思いますので、ぜひ、ご自分に合ったペースで読み進めて頂けると幸いです（笑） (2021年5月6日 20時) (
レス) id: ba04661380 (このIDを非表示/違反報告)
茨の國のぼっち(プロフ) - この作品にすごくハマりました！夢主とアズールの性格と、糖度が好きすぎます！一気に読んだらすぐ終わっちゃうので、一日頑張ったご褒美に読んでますw (2021年5月6日 18時) (レス) id: 9a68fed22a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とある誰かの作品倉庫 | 作成日時：2020年12月24日 9時
