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完璧な嘘を演じて ページ23

「Aちゃん!ホントにお願い!」

「えー……うーん……アズに許可取った?」

「あはは……スタンプカード、溜まってなくて……」

「……はぁ……けー君……どっちにしろ、アズに依頼して貰わないと」

「だよね〜。ダメ元で来てみたけどさぁ……仕方ないね。大人しく、スタンプカード貯めよっかな」

「まぁでも、やる曲の音源と歌詞カードだけは貰えれば、覚えるだけ覚えるよ」

「マジで!?流石Aちゃん!」

「次のお見舞いの時には持ってきなよ?」

「わかってるって!」

「時間切れですよ、ケイトさん」

「はーい!じゃ、そういう事で!」

「はいはい。またね、けー君」

「まったね〜!」

部屋から去っていくケイト。
入れ替わりに部屋の主が足を踏み入れ、彼女のいるベッドに歩み寄る。

「……何のお話をされていたんですか?」

「世間話かな」

ベッドに辿り着いたアズール。
そのまま腰を下ろし、Aに詰め寄る。揺れる瞳はさながら海のさざ波の如く。

「……Aさん」

「ん?」

「段々と知り合いが増えていきますね」

「あー、そうね」

「…………」

黙りこくった末に、横からAを抱きしめるアズール。
Aは背をアズールに向け寄りかかり、後ろ上に腕を回す。
ふぅ、と微かな溜息を漏らしつつ、彼の頭を撫でた。

「何。やけに甘えただな?」

「別に……そういう訳では……」

言葉と裏腹に、目の前の黒髪に顔を埋めるアズール。

「そっか」

「……はい」

声が出された瞬間に、Aは背後の胸板に頭を預け、頭上に来た顔を見つめて口を開く。

「演技は上手くやりなさい」

そう告げた口には、にっこりとした微笑みを湛えて。
淡い海を思わせる瞳が見開かれる。

「なんっ……!?」

「誤魔化すのは相変わらず苦手だね」

残った片腕をも上げ、彼女の両手はどちらも、ふわふわとしたカールの銀髪に沈められる。

「……ふふ、そうでしょうか?」

「え?」

返された間の抜けた声の出処は、その瞬間にパクリといかれた。

「ん……んん……」

「……ふ……っ……」

触れるだけの啄みが繰り返される。
唇を離し、彼女が呼吸を整える間にも、アズールの唇は唇から頬へ、鼻の先へ、頬へ、両の瞼へ、額へ──と顔面旅行を楽しみ始めた。

ちゅっちゅと可愛らしい音を立てて移動する唇に耐えかね、Aは照れた様に笑う。

「嵌めたなぁ?」

「完璧なミスだったでしょう?」

「参った!1本取られたよ」

「ふふ、気持ちがいいですね」

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とある誰かの作品倉庫(プロフ) - 茨の國のぼっちさん» ありがとうございます!!!もう願望詰め放題パラダイス(???)な自己満作品なのですが、喜んで頂けて泣いて喜んでおります!!(セベクボイス)結構お話も長いと思いますので、ぜひ、ご自分に合ったペースで読み進めて頂けると幸いです(笑) (2021年5月6日 20時) (レス) id: ba04661380 (このIDを非表示/違反報告)
茨の國のぼっち(プロフ) - この作品にすごくハマりました!夢主とアズールの性格と、糖度が好きすぎます!一気に読んだらすぐ終わっちゃうので、一日頑張ったご褒美に読んでますw (2021年5月6日 18時) (レス) id: 9a68fed22a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とある誰かの作品倉庫 | 作成日時:2020年12月24日 9時

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