鬼人族のヒーローアカデミア (ページ10)

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続ページ10

祖父母と両親、兄と姉が警察とサイドキックで、オールマイトとの関わりもあるため、必然的に、紫音もオールマイトの秘密は知っている。オールマイトが個性を緑谷に伝承したことは知らないが。

教室の生徒は息を呑んだ。

「「「(鬼灯、オールマイトと喧嘩するの……！？)」」」
※違います

オールマイトは気を取り直すように、咳払いを一つすると、顔に笑顔を浮かべ、先程のことは何も無かったかのように話し出す。

「ヒーロー基礎学！ヒーローの素地を作るため、様々な訓練を行う課目だ！！早速だが今日はコレ！！戦闘訓練！！！」

BATTLEと書かれたカードを掲げるオールマイト。さすが平和の象徴と言うべきか、彼の笑顔で、生徒たちの中を支配していた恐怖は落ち着いた。

「そしてそいつに伴って……こちら！！！」

オールマイトがそう言うと、壁からガコッと音が鳴り、そこから生徒たちの出席番号の書かれたスーツケースが出てくる。

「入学前に送ってもらった、個性届と要望に沿ってあつらえた……コスチューム！！！」

「「「おおお！！！！」」」

生徒たちが歓声をあげた。

「着替えたら順次、グラウンド・βに集まるんだ！！」

「「「はーい！！！」」｣

◆

更衣室に入ると、紫音は慣れた手つきで着物を着ていく。振袖ではなく留袖なので、1人でも着ることができ、紫音は日常から着物を着ているので、3分で全てを着替え終えることができる。

後から入ってきた女子たちは、紫音のコスチュームを見て、驚いていた。紫音はそれには気づかず、ロッカーを閉めると、素早く更衣室を出る。

「(にしても、この草履、歩きにくいな)」

なぜかは分からないが、厚底になっている草履に、紫音は顔を顰める。

「(バランスは取れるけど、体術できるのか……？)」

紫音は廊下に草履の音を響かせながら考えたが、「ま、なんとかなるか」と呟くと、思考を放棄した。……意外に、大胆な性格だな。