鬼人族のヒーローアカデミア (ページ9)

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ヒーロー基礎学ページ9

『んじゃ、次の英文のうち間違っているのは？
おら、エヴィバディヘンズアップ。盛り上がれ━━━！！！』

個性の影響か、マイクが通っているのか、はたまた声が大きいからか、ハイテンションのプレゼント・マイクの声が教室中に響く。

「(あー、面白くない)」

紫音は午前の授業を、窓の外を眺めて過ごした。これで怒られないのは、鬼灯の成績が良いからか、鬼人族を怒らせるとどうなるか分からないからかの、2択だ。

◆

午前の授業を終えてランチタイム。紫音は財布を持つと、誰よりも早く教室を出、食堂に向かった。

「麻婆豆腐」

紫音はランチラッシュに短くそれだけ言うと、札を持って席に着く。熱い食べ物=辛い食べ物だが、本人は何故か、辛い食べ物も熱い食べ物と言う。紫音曰く、「辛くて冷たい食べ物もあるから」だそう。作者には微塵も理解できない。

紫音は麻婆豆腐が完成すると、ランチラッシュから受け取り、取っていた席に座って食べる。見えない壁があるかのように、紫音の周りには、誰も人がいない。

A組の生徒も何人かはいるが、やはり、話しかけるのは恐いらしい。ちなみに、紫音は、慣れているので、全く気にせず麻婆豆腐を食べている。

「(視線、鬱陶しいな)」

◆

腹も脹れて、いよいよヒーロー基礎学。紫音は眠気に襲われ、目が半分閉じている。傍から見れば、紫音が不機嫌そうに窓の外を見ているように見えるだろう。

ここまで来ると、紫音が可哀想になってくる。

───突然、廊下から誰かの走る音が聞こえてきた。紫音はちらりとそちらを見る。瀬呂は睨まれたと勘違いし、思いきり肩を揺らした。

「わーたーしーがー！！」

「来っ」

「普通にドアから来た！！！」

勢いよく扉を開け、元気よく、オールマイトが入ってくる。

「オールマイトだ……！！すげぇや、本当に先生やってるんだな……！！！」

「シルバーエイジのコスチュームだ……！画風違いすぎて鳥肌が……」

紫音はオールマイトの姿を捉えると、片頬を引きあげ、ニヒルに笑う。

「お久しぶりです、平和の象徴サマ」

オールマイトの動きが止まった。教室の熱が、一気に冷める。

「お体は、大丈夫そうですか？」

「……君、私の事、嫌いだったりする？」

「いえいえ、そんなことはありませんよ｣