鬼人族のヒーローアカデミア (ページ7)

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続ページ7

どういうことだと首を傾げる。

「つくづくあの入試は……合理性に欠くよ。おまえのような奴も、入学出来てしまう」

緑谷は何かを考え込むとわやがてはっとしたように顔を上げる。

「消した……！！あのゴーグル……そうか……！
抹消ヒーロー、イレイザーヘッド！！！」

「イレイザー？俺……知らない」

「名前だけは見たことある！アングラ系ヒーローだよ！」

2人は外野の声を無視して話す。紫音はジッと目を細めると、相澤と緑谷の口元に集中し、祖父母に散々しごかれて身につけていた読唇術を使った。

「見たとこ……個性を制御できないんだろ？また、行動不能になって誰かに救けてもらうつもりだったか？」

紫音が小さく呟くように、相澤の言葉を真似る。いつの間にか生徒たちは静かになっており、紫音の声に耳を傾けていた。

「そっ、そんなつもりじゃ……！」

感情の籠っていない、棒読みの紫音に、笑いそうになる者がちらほら。だが、紫音は至って真剣だ。

「どういうつもりでも周りはそうせざるをえなくなるって話だ。

昔、暑苦しいヒーローが、大災害から一人で千人以上を救い出すという伝説を創った。同じ蛮勇でも……おまえのは一人を救けて木偶の坊になるだけ。

緑谷出久、おまえの力じゃヒーローにはなれないよ」

開いていた目を、相澤は閉じる。

「個性は戻した……ボール投げは2回だ。とっとと済ませな……か」

紫音は息を着くと、その目をギラっと光らせて緑谷を見る。

一同は、先程の紫音の言葉が抜けきらないのか、微妙な、困惑した顔をして緑谷を見た。
緑谷が、先程同様、腕を振りかぶって投げようとする。

「見込み、ゼロ……」

だが、今度は少し違った。光っている部分が、人差し指1本なのだ。まるで、そこに力が込められているみたいに。

ボールは弾かれるように勢いよく、空に吸い込まれるように飛んだ。

相澤が、爆豪より、0.1上の〈705.3m〉という記録を見、感心したような顔をする。

「先生……！まだ……動けます」

「こいつ……！」

面白いといった顔をする相澤と、緑谷から目を逸らして次の種目まで足を運ぶ紫音。爆豪は緑谷につっかかろうとするが、相澤に止められる。

紫音はその声を背中で聞きながら、小さくあくびを1つする。

「(他の種目も、ぱぱっとこなして早く帰ろ。にしても、あの緑谷の個性……器の緑谷がしっかりしてれば、なかなか使えるな)」