鬼人族のヒーローアカデミア (ページ30)

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続ページ30

「どれも、路地裏に潜んでいるような小物ばかりでしたが、問題は、そういう人間がその子ども大人に賛同し付いて来たという事。ヒーローが飽和した現代、抑圧されてきた悪意たちはそういう無邪気な邪悪に魅かれるのかもしれない。まァ……ヒーローのおかげで、我々も地道な捜査に専念出来る。捜査網を拡大し引き続き犯人逮捕に尽力して参ります」

「でも、不思議よね。いくらオールマイトが弱ってるからと言って、なんで殺せると思ったのかしら」

紫音が控えめに手を挙げた。

「多分、私たち生徒を甘く見たんだと思います。死柄木たちは、私ら生徒をバラバラに飛ばして、そこでヴィランに襲わせて、人質に取るつもりだったんだと思います。

オールマイトは教師であり、ヒーローでもあるので、ヴィランを倒すより人名優先ですよね？USJって広いので、オールマイトが雑魚……じゃなかった、小物ヴィランを相手して生徒全員を助けてるうちに、もろくなると思ったんだと思います。

最後、オールマイトに飛ばされた脳無の攻撃を受けて思ったのが、父親や祖父より少し上くらいの威力だったということ。イレイザーは視た対象の個性を消せますが、脳無のは消せなかった。つまり、素の力がオールマイト並だったわけです。

少し弱ってきたオールマイトと脳無を戦わせ、その間に黒霧がワープゲートを使い、オールマイトの半身が入った状態でゲートを閉じる。もしくは、死柄木がオールマイトの首に触れでもすれば、オールマイトは死んでいました」

その場にいた全員の目が点になった。

「お前、よくそこまで考えたな」

「もし、私がヴィランの立場だったら、こうするなと考えた結果です。まあ、私なら、生徒たちの個性まで調べあげますけどね。電波に障害を起こす電気系の個性のいるヴィランの元に上鳴を、水難ゾーンに蛙水を入れていましたから、そこまで気を回していなかったんでしょう。それに、鬼人族である私がいることも計算外だだったようです。そこに頭が回らないのは、さすが、子供大人ですね」

ニッコリと笑顔を見せた紫音。その場にいた全員が彼女を敵に回したくないと思い、それを悟られぬように、話を続けた。

「子ども大人……逆に考えれば生徒らと同じだ。成長する余地がある……もし優秀な指導者でもついたりしていたら……」

「………考えたくないですね」

ピリついた空気が流れた。紫音の目は鋭くなる。

「(死柄木に黒霧……嗚呼、厄介だな)」