鬼人族のヒーローアカデミア (ページ25)

今日:3 hit、昨日:6 hit、合計:7,694 hit

死柄木弔ページ25

……が、紫音は焦りもせずにギリギリまで攻撃を引き寄せると、当たる直前で真上に飛び、空中で身を捻って着地する。そして着地と同時に駆け出し、ヴィランを一人一人ノしていった。

「……大人がガキに許し乞うとか、ダッッサ」

もう無理だと察したヴィランたちが震えながら許しを乞う姿を見て、紫音は有り得ねえと笑う。

「(ま、一応これで終わりか。仮にもヒーロー死亡、降参した人間に手を上げる訳にはいかない。先生は、どうなったかな……)」

相澤を見た紫音は、ギョッとした。

「先生……！！」

流血し、あらぬ方向に腕が折れた相澤を見て、紫音は叫ぶ。それと同時に、地面を蹴り、彼らに近づいた。

「脳無」

20秒程で、相澤らの元へ着いた紫音は、主犯の死柄木を狙おうとしたが、死柄木が呟いたのと同時に、目の前に脳無が現れたことに驚き、一瞬、反応が遅れる。

戦闘において、一瞬の隙が命取りになる。紫音は立て直そうとしたがそれはもう遅く、脳無の攻撃によって体を真横に飛ばされた。

「(強さは、父さんやじいちゃんと似たような感じか。先生がぼこられてたってことは、素の力が鬼人族かオールマイト並ってこと。
痛いし威力もあるけど、慣れてるから立てないほどじゃない。……まあすなわち、勝てる相手ってこと)」

攻撃をしに向かってくる脳無。紫音は立ち上がると、脳無が殴るより先に足を上げ、こめかみ部分を思いっきり蹴り、地面に叩きつけた。そして、はだけた着物を軽く直す。

「これで、おあいこね」

紫音はそう言うと、相澤のもとにいった。

「先生、生きてる？」

「ああ……」

少し呻くような声を出す相澤。紫音は相澤を姫抱きにすると、自分を見ている死柄木から目を離さずに飛び下がり、相澤を寝かせた。

「多分、もうすぐオールマイトが来てくれるはず。ここは、まあ、何とかしますよ」

「無理は、するな」

「了解(先生の肘が崩れてる。あの男の個性か？だとしたら、厄介だな。接近戦スタイルの私とは相性最悪だ)」

紫音は顔を顰めそうになったが、それを何とかこらえて死柄木と距離を詰めた。死柄木が腕を伸ばす。紫音はそれを真横に逸れてかわそうとしたが、黒い小さな点が現れたため、反射的に飛び下がった。

直後、黒い点が一瞬で大きくなり、モヤが広がり、そこから黒霧が現れる。

「死柄木弔」

「(男の名前か……)」

「黒霧」

「(このモヤの名前ね、まさか、あちらから言って貰えるとは、幸運だわ)」