鬼人族のヒーローアカデミア (ページ3)

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続ページ3

2人が席に座るのと同時に、担任になった相澤が入ってくる。相澤は静かすぎる教室に驚きながら、寝袋を脱いで教室内に入った。そして、ちらりと爆豪の後ろを見る。

「(鬼灯か。アイツがいるなら、この教室は静かだな)」

鬼人族はヒーローとも関わりが深く、雄英教師やプロヒーロー、あとは警察官などは、鬼人族の圧や雰囲気にはもう驚かない。

「おはよう」

相澤はそう言うと、短く「担任の相澤消太だ、よろしくね」と自己紹介をする。そして、黄色い寝袋を漁りながら口を開いた。

「早速だが、コレ着てグラウンドに出ろ」

1部の生徒を除く全員の心中が一致した。

「「「(あー、帰りたい)」」」

◆

「急で悪いが、今から個性把握テストを始める」

突然告げた相澤の言葉に、一同は言葉の意味を理解するのに数秒時間を使う。そして、理解した時に、叫んだ。

「「「個性把握……テストォ！？」」」

グラウンドに反響する声に、皆から少し離れたところに立っていた紫音は、軽く表情を歪めたが、その顔も一瞬で、直ぐに無表情に戻った。

「入学式は！？ガイダンスは！？」

麗日の言葉に、相澤は淡々と返す。

「ヒーローになるなら、そんな悠長な行事出る時間ないよ」

「(さらっとB組貶したな……)」

紫音は髪を耳にかけた。これは癖の1つで、気分が上がっている時に行う……が、本人は自覚しておらず、自分の気分が上がっていることも分からない。

「雄英は自由な校風が売り文句。そしてそれは先生側もまた然り。

ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈｣

相澤が体力テストの種目を口にしていく。

「中学の頃からやってるだろ？個性禁止の体力テスト。

国は未だ、画一的な記録を取って平均を作り続けてる。合理的じゃない。まぁ、文部科学省の怠慢だよ｣

教師あるまじきセリフに、約半数の生徒の目が点になる。相澤はそんな生徒たちを気にする素振りを見せずに爆豪を見た。

「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった」

「67m」

個性無しでの記録に一同は驚くが、紫音は違った。鬼人族のため身体能力が高く、異形型のため、個性を使うなと言うのは厳しい。

そのため、体力テスト……否、体育系の授業ではいつもトップだった。ちなみに、ソフトボール投げの記録は73mだ。
まあ、手を抜いての記録だが……。

「じゃあ、個性を使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい、早よ」