鬼人族のヒーローアカデミア (ページ16)

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続ページ16

あまり自己表現をしたがらない口田や尾白も手を上げるほど、人気の委員。紫音は、興味無さそうにそれらを見ていた。

「(雑用やりたがるとか、変なの)」

すると、飯田が声を上げる。

「静粛にしたまえ！！多をけん引する責任重大な仕事だぞ……！
やりたい者がやれるモノではないだろう！！

周囲からの信頼あってこそ務まる聖務……民主主義に則り、真のリーダーを皆で決めるというのなら……これは投票で決めるべき議案！！！」

いかにも委員長に相応しい人のセリフだ……その、腕がなければ。

「そびえ立ってんじゃねーか！！なぜ発案した！！！」

まったく、その通りである。

「日も浅いのに、信頼もクソもないわ。飯田ちゃん」

「そんなん皆、自分に入れらぁ！」

蛙水らの言葉も想定済みらしく、飯田は「だからこそ」と言って立ち上がると、「ここで複数票獲った者こそが、真にふさわしい人間ということにならないか！？」と生徒たちに訴えかけた。そして、最後に相澤を見る。

「どうでしょうか、先生！！！」

「時間内に決めりゃ何でも良いよ」

相澤はそう言うと、ダルそうに寝袋の中に入った。

「ねーねー、投票って言ってもさ、何に書けばいいの？」

芦戸の言葉に、全員が顔を見合わす。すると、紫音が立ち上がった。

「幼稚臭いけど、顔伏せて腕あげるタイプのやつにしよう。その方が早いし簡単」

紫音の意見に、確かにと頷く生徒たち。その反応を見て、紫音は席から離れると、黒板の前に歩いていき、そこに自分を除く、生徒20名の名前を書く。

「……じゃ、伏せよっか」

手に着いたチョークの粉をパンパンとはたきながら、紫音が言う。その声を聞くと、生徒たちは一斉に顔を伏せた
紫音はそれを確認すると、1番上から名前を読み上げる。

「青山優雅」

挙げたのは、青山1人だ。紫音は、黒板に線を1本だけ書く。

「芦戸三奈」

同じことを、八百万まで続けた。

「……はい、いいよ」

その言葉に、相澤を含む全員が顔を上げる。

「(緑谷3票、八百万2票……か)」

紫音は背中で、八百万に投票した轟の席番と、緑谷に投票した飯田と麗日の席番の数の指を立てる。

「(轟か、意外だな。緑谷は、だいたい分かっていたが……)」

「僕、3票━━━！！！？」

「なんでデクに……！！誰が……！！」

「まー、おめぇに入るよかわかるけどな！」

「同意」

「んだとこら！！」