鬼人族のヒーローアカデミア (ページ14)

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続ページ14

鬼灯は以外に優しいなと感じていた尾白と葉隠は、轟と紫音が落ちてきたことに驚きの声を上げ、わけも分からず紫音と落ちている轟は短く声を出し、障子は轟の目が開いて驚いている様子を見て、無意識に轟の名前を呼び、紫音は特に気にする素振りも見せず、慣れたように片足を数度ビルの壁に当てて勢いを殺して落ちると、音を立てずに地面に着地した。

「よし、帰ろ」

紫音が轟の腰から腕を離して、表情を変えずに答える。
あまりの紫音の自然さに、その場にいた4人は、これが普通なのかと首を傾げた……が、断じてそんなことは無い。紫音含む鬼人族が異常なだけだ。

◆

「お疲れさん！！緑谷少年以外は大きな怪我もなし！しかし、真摯に取り組んだ！！初めての訓練にしちゃ、皆､上出来だったぜ！」

「相澤先生の後でこんな真っ当な授業……何か、拍子抜けというか……」

「真っ当な授業もまた、私達の自由さ！それじゃあ私は緑谷少年に講評を聞かせねば！着替えて教室にお戻り！！」

オールマイトはそう言うと、風邪のような速さで戻る。紫音も戻ろうと背を向けた時、葉隠が紫音に話しかけた。

「(この草履、意外に動けるな……)」

「あ、鬼灯ちゃん！」

「なに」

紫音が肩越しに振り返る。

「今日の訓練、ありがとね！鬼灯ちゃん、意外に優しくて、ビックリしちゃった」

遠慮の無い葉隠の言葉に、一同は驚き、動きを止める。
紫音は草履を鳴らして体の向きを変えると、音を鳴らして葉隠に近づき、葉隠の前まで来ると、手を伸ばす。

───誰もが、ヤバいと思った。……葉隠さえも。

紫音は腕を伸ばすと、強引に葉隠と肩を組んで自身に引き寄せ、その顔にニヒルな笑みを浮かべて口を開く。

「なにが、意外だよ。私、優しいじゃん」

紫音の言葉に、葉隠はホッとしたような顔になると(見えないからわからないが)「だって鬼灯ちゃん怖いし」と言う。
紫音はスっと笑みを消して腕を離すと、葉隠を見る。

「それ多分、私が鬼寄りの人間だからでしょ。鬼人族、言うて怖くないよ。オールマイトより少し弱いのが大量発生してる感じ」

「それはそれで怖いかな」

「確かに」

大半の生徒は思った。「鬼灯、意外と話しやすい」と。そして誓った。「明日は鬼灯に話しかける」と。

「じゃ、もう帰ろ。遅くなると怒られる」