鬼人族のヒーローアカデミア (ページ13)

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続ページ13

紫音は核の置いてある部屋のドアを開けた。

「凍らしたら、多分単独で乗り込んでくる。足元が凍ったら私が溶かすから、2人は動けるようになったら、障子の足止めをお願いしたい」

「「了解！」」

紫音はその返事を聞くと、鬼火を4つ出す。そして、スタートの合図が出た。そこから少しして、紫音の予想通りビル全体が凍る。
紫音は直前で飛び上がり、氷を躱す。鬼火は紫音に操られ、2つ1組で尾白と葉隠の足場を溶かした。

───そして、轟が扉を開けて入ってくる。

紫音は片足に力を入れ、そして、地面を蹴り、一瞬で轟と距離を詰め、轟を廊下の壁に押さえつけた。

「今」

一瞬一秒も気が抜けない。轟は押さえつけられると、ほぼ同時に氷を出して紫音に距離を取らせる。尾白と葉隠は、間一髪でそれを避けると、紫音の操っている炎を先頭に外に出た。

紫音は窓まで飛び下がり、尾白と葉隠が外に出たのを確認すると、鬼火を解除する。

「負けるのは、嫌なんだよね」

氷の攻撃で紫音と距離をとる轟と、その氷を最小の動きで躱し、氷で怪我をするという恐怖を感じさせずに、轟に真っ直ぐと向かっていく。

「(着物でここまで動けるか……怪我することが怖くねえのは、厄介だな)」

紫音は捕獲テープを出すと、轟の出した氷を踏んで飛び、宙で一回転すると、今度は壁に着地をし、また跳び、轟の目の前に着地する。

驚き、一瞬だけ動きの止まった轟を、紫音は見逃すはずがなく、わずか一秒にも満たないそのスピードで、素早く捕獲テープを轟に巻き付けた。

「よっし、終わり」

ヴィランチームの勝利を告げる声が響く。
紫音は鬼火で轟の捕獲テープを燃やすと、轟の腕引いて立たせた。

「骨折れてない？」

「そこまで弱くねえ」

「(あっそ)」

「にしても、鬼人族は、強えんだな。話でしか、聞いたこと無かった」

「まあ、ね」

紫音の脳に「謙虚」なんて文字はない。

「尾白、葉隠、お疲れ。良くやってくれたよ。さ、戻ろ」

紫音は無線に手を当てながらそう言うと、轟の腰に腕を回し、そのまま助走をつけて窓まで近づくと、素早く窓を開けて枠に足をかけ、轟が抵抗する間もなく───飛び降りた。

「は……？」

「「えええ！？」」

「轟！」

「喋ったら、舌噛むよ｣