鬼人族のヒーローアカデミア (ページ2)

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鬼灯という少女ページ2

ピンと伸びてぶれない背筋。人1人、簡単に殺めれそうな鋭い目、女子にしては高い身長に、どことなく近寄り難いオーラを出して歩くのは、新しく雄英高校ヒーロー科に入学した、本編の主人公───鬼灯紫音だ。

彼女が鬼人族ということもあり、皆、彼女が通れば、モーゼの十戒の如く道を開ける。紫音はそれを全く気にする素振りも見せずに、顔色1つ変えずに歩く。

そこからしばらくすると、紫音は1-Aと書かれた扉の前に来た。個性関係のためのバリアフリーか、はたまたものを大きくしたいという雄英の気分か……紫音の父(2m)でも難なく通れそうな扉に、紫音は軽く目を見開いた。

だが、その顔も一瞬で、次には表情は変わっていた。紫音は表情を引き締めると、ゆっくりと自分が通れるくらいまでドアを開け、中に入る。

教室内には、既に数名が揃っていた。その数名の生徒は、紫音が入ってくるのと同時に話していた口を噤み、姿勢を正す。息を止める者も、何人はいる。

その理由は明確で、紫音にも理解できる
鬼人族というのは、人間の血が4割で鬼の血が6割。ほぼ鬼の人間なのだ。出される圧も、纏う雰囲気も、何から何まで人間とは異なる。

そのため、鬼人族に初めて会う人達は皆、この教室内の生徒と同じような状態になるのだ。

だが、紫音はそんな生徒のことを微塵も気にしていない。慣れが5割、無関心が5割。知り合いでもないような人達を気にかけるほど、紫音は優しくない。

彼女は自分の座席を確認すると、そこまで歩く。彼女が隣を通れば、息を止めて身を縮ませ、彼女と目が合えばすぐに逸らし、彼女が手を挙げれば、衝撃に目を瞑る。

「(いや、そんな乱暴者じゃないんだけど)」

少しだけ傷つく紫音の席は、爆豪の後ろでまだ来ていない緑谷の前。瀬呂の隣だ。後ろからの圧に少しだけビビってしまう爆豪と、ペアワークの時に絶対に紫音と組まなければならない事実に鬱になりそうな瀬呂。

仮にもヒーロー志望が、こんな考えでいいのかと聞かれたら、答えは否……ダメだろう。

地獄のような教室内……するとそこに、扉の開く音が聞こえる。全員がいっせいに、そちらを見た。そこに立っていたのは緑谷で、途中で会ったであろう麗日と入ってきたが、爆豪の後ろに座る紫音を見て動きを止める。

もう、なかよしこよしでお話する気にはなれないのだろう、2人はそそくさと教室に入ってきた。