05.変な子の話 ページ7
赤ちゃんの｢ちゃおっス｣という独特な挨拶に、ぺこりと頭を下げる。相手は子供だし、マスクがなくても話せると言えば話せる。でも、なんかこの子供、子供らしくないっていうか……。
｢お前、さっきからずっとここにいたのか？｣
格好もそうなんだけど、話し方とかが大人っぽい。とりあえず、その質問に頷く。未だ言葉が発せないのは、この子がなんだか、異質に感じたからだった。私の観察するような視線に気付いて、赤ちゃんは｢まぁ座れ｣と芝生を叩く。
それに素直に従う私も、どうかしている。
｢俺の名はリボーン。家庭教師だ｣
｢か、家庭教師……｣
家庭教師って、赤ちゃんでもなれるんだ。ってそんなわけない！いやでも、このリボーンって子、妙にダンディーだし本当にそうなのかも。帽子のカメレオンは、レオンというらしい。
｢で、話しを戻すが、本当に最初からいたんだな？｣
コクコクと黙って頷く。やっぱりこの子、絶対になんかおかしい。威圧感というか、有無を言わさず従わせる何かを持っている。だいたい、子供がこんな流暢に喋ってるのも違和感だらけだ。
｢なるほど。お前、めっちゃ影薄いな｣
｢急になんですか！？｣
見知らぬ子供からディスられた挙句、なんかニヤリと笑われて辛い。影薄いっていうのは、そりゃあ目立ちたくないと思っているからだ。リボーンさんにそう説明すると、なんかウンウン頷いている。
｢でも、しようと思ってできることでもねぇぞ｣
これは褒められているんだろうか。いや、影が薄いを褒め言葉に使う人はいないだろう。馬鹿にされているのかもしれない。影が薄くて得することもないし、きっとそうだ。一応｢ありがとうございます｣と言ったけど、全く嬉しくはなかった。
｢もういっそ、誰にも気付かれないくらい薄くなれたらいいんですけどね｣
つい、そんなことを口走ってしまう。子供相手に何言ってんだと思ったけど、リボーンさんの目は真剣だ。何だか気まづくて目をそらす。だいたい、こんなに人と話したのも久しぶりだ。こういう時どうしたらいいのか、私には分からない。
｢それじゃあ、透明人間目指して頑張れよ｣
｢え、あ、はい……｣
リボーンさんはそのまま学校の中へと消えていった。一体なんだったのか、説明は受けたけど何一つ理解できていなかった。不思議な子供。そういえば、家庭教師って誰のだろう。食べかけのメロンパン片手に、そろそろ教室へ戻ろうと思った。もうチャイムが鳴る。
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まどろみ(プロフ) - 凛さん» ご指摘ありがとうございます！すぐ修正しておきます！ (2019年3月11日 22時) (
レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - こんばんは！雲雀さんの口癖は噛みじゃなく咬みですよー (2019年3月11日 22時) (レス) id: 6bfe22f21c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まどろみ | 作成日時：2019年3月10日 22時
