12.キレる話 ページ14
私が人から何か言われても、それは自分のせいだと思っている。だって、私は本当に出来損ないだから。周りがみんな私より有能に見えて、その評価を甘んじて受け入れていた。
＿＿でも
ギリッと歯を食いしばる。
コイツらはどの立場から私を貶しているんだ。お前達も私と変わらない、弱者だ。いや、私は弱者と認めただけ一歩リードしているか。
｢マジ冴えねぇ！喪女じゃん、喪女！｣
｢……さ…だ…｣
｢あ？何だよ。声が小さいんだよこの喪｣
｢うるさいっつってんだよ！！！｣
頭に血が昇っているのが自分でもわかった。マスクをとって、立ち上がって、大声で叫ぶ。近くにいた男子を殴った手が痛い。でもすごく気持ちよかった。溜まっていた黒いものが弾けるような爽快感だ。
｢さっきから言いたい放題言って、アンタら自分の顔鏡で見たことある？人を馬鹿にできるようなレベルの顔になってから言えよッ｣
女の一人を突き飛ばした。そのまま尻もちついた女を蹴り飛ばすと、全員一歩後ずさる。蹴った女は咳き込んでいて、ざまぁみろと笑ってやる。ズカズカ歩み寄って、男のネクタイを引っつかんだ。こんなに気持ちが良くて腹立たしいのは、初めてだった。
｢私が弱そうだから集団でこんなことしてるんだろうけど、お前らの方がクソほど弱いんだよッ！！｣
男の頭を、横の壁に叩きつける。気持ち悪いうめき声に、何故か高揚感に包まれた。無抵抗な相手なら非力な私でも負ける気がしない。ネクタイを離すと、ズルズル沈んでいく。
｢どいつもこいつも一人じゃ何にもできやしない。弱者でいることをまるで誇って、馬鹿みたい｣
｢それは僕も同感だね｣
いきなり後ろから聞こえた声に振り返る。
その声には聞き覚えがあって、目をぱちくりさせてしまう。肩にかかった学ランと腕章。間違いなくその人で、でもなんでここに。
｢あ、の。雲雀さ｣
｢弱いもの同士が群れる。それで勝ち誇ってる君らみたいなのが一番、咬み殺しがいがあるよ｣
｢ひぃ、ひ、ヒバリさ、待っ｣
男子も女子も関係なく、一瞬で蹴散らしていく風紀委員長。さっきまで自分も似たようなことをやっていたのかと思うと羞恥心に襲われた。……でも、ちょっとだけスカッとしている。
｢君、何笑ってるの｣
｢ぇ、あ｣
どうやら笑っていたらしい。雲雀さんに注意されるまで気付かなかった。マスクは地面に落ちているし、髪を前に寄せてできるだけ隠す。
｢なにそれ｣
｢ぼ、防衛……です｣
喋る時は手で隠した。
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まどろみ(プロフ) - 凛さん» ご指摘ありがとうございます！すぐ修正しておきます！ (2019年3月11日 22時) (
レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - こんばんは！雲雀さんの口癖は噛みじゃなく咬みですよー (2019年3月11日 22時) (レス) id: 6bfe22f21c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まどろみ | 作成日時：2019年3月10日 22時
