6話 ページ6
少女と共にエレベーターに乗り込んで、操作ボタンにふれようとすると、B7という表示が光っているのを見つける。
(……おかしい。私がいたのは、こんな地下じゃなかった)
なにかしらを知らないだろうか、と隣の少女を見てみるが、少女の方も少し困惑したような表情をしていた。
その時、コーン、コーン、と教会の鐘のような音が鳴り響いた。
はっと顔をあげる。
『────最下層の彼女は、生贄となりました。』
『────みなさま、各フロアにてご準備を。』
『────ここから先はプレイエリア。ゲートが開かれます。』
抑揚のない、どこか冷たさを感じる女の人の声。どこか耳障りな声にレイは顔をゆがめた。隣の少女がはぁ、とため息をついた。
「────生贄か。物騒な言葉」
少し挑戦的な顔で、少女は声が聞こえた先を見ていた。レイは少し不安になってうつむく。不安なのはこの少女もきっと同じだ。
────だって、顔が引きつってる。
そう思いながら糸が張ったような少女の横顔を見つめていると、少女はレイの視線に気づいてか、レイの方に顔を向けた。
「何が何だか分からないけど、嫌な予感がする。これからも一緒に行動したいんだけど、いいかな」
少女の提案にレイはすぐにうなずいた。一人より二人の方がいい。少女は安心したように息を吐き出した。
「良かった、ありがとう。……名前、聞いてなかったよね、ごめん。あなたの名前、聞いてもいいかな」
「……レイ。レイチェル・ガードナー」
「レイ。わたしはA。よろしくね」
なんだか歳の近い友達ができたみたいで、嬉しい。Aが差し出した手をレイが握り返して、握手をする。レイが少し笑うと、Aも笑い返してくれた。
それからエレベーターの操作ボタンに目を向ける。そこにはB6へのボタンしかなかった。レイも、Aも首を傾げた。すぐに地上へ───1階に向かおうと思っていたというのに。
「B6のボタンしかないね。仕方ない」
Aが残念そうな声と共にB6のボタンを押す。するとエレベーターはガコン、と重い音をたてて動き出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 276人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
暇人9号(プロフ) - リア.........。オリキャラと同じじゃん。 (2020年12月20日 13時) (
レス) id: 2a2b2b394e (このIDを非表示/違反報告)
9Sに殺されたいロリコン - リアさん» 派手さがますのでアタシはオススメしませんけどね…… (2019年12月8日 18時) (レス) id: 23809db5c5 (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 「ベースデザインを設定」で背景は変更できますよ。 (2019年5月25日 19時) (レス) id: 1e8f4916fe (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 日向クロさん» 初めまして、コメントありがとうございます！この小説を読んで下さり、ありがとうございます。背景の色、ですか…実はあまり占ツクの使い方分かってないのです(汗)なるほど、背景の色を変えれるのですね！色々試してみますね、ありがとうございました！ (2019年4月27日 9時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 初めまして。とても面白いお話ですね！ところで、背景の色を変えたりはしないのですか？それやると面白さが上がると思いますよ！ (2019年4月21日 18時) (レス) id: eebf1123f7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リア | 作成日時：2018年8月4日 21時
