38話 ページ39
「……これ、仕掛けのヒントなのかな……」
レイは呟く。図面のこの訳の分からなさが暗号なのでは、と考える。
「……」
なにか考えつきそうになった時、唐突に響いた轟音によって思考は遮られた。
ガンッ、ガンッ、ガンッ!!
(私のお墓……壊されてなかったらいいけど)
一方、墓場ではザックが岩につるはしを叩きつけていた。
「固ってぇ! バカかよ!」
ザックの一撃は跳ね返された。しかしその事によってザックはスイッチが入ったらしい。何度もつるはしを叩きつける。
(……うるさい!)
Aは墓の陰に隠れて、耳を塞ぐ。様子を見ていると、やがて墓石は砕け散ってしまった。
「ハハハハハ! やってやった! 雑な墓石のくせに頑丈に作ってんじゃねぇよ!」
ザックは勝ち誇ったように笑った。が、次にはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「……そうだ。こうなったら、他の墓石もぶっ壊してやる!」
「……ザック!」
もう勘弁してほしい。そう思ってAがザックに呼びかけたが、遅かった。
「ヒャハハハハハ───!」
お馴染みの狂気的な笑い声をあげて、目に付いた墓石から手当たり次第につるはしを振り下ろし始める。
(……うるさ! すっごいうるさい!)
第二墓場に避難しようかと思った矢先、目の前の墓石が木っ端微塵に砕け散った。
(……あっぶな! 死ぬ!)
と、目の前に謎のスイッチがあるのを見つける。これで扉が開くかもしれない。
(……お手柄、ザック!)
本人は何も気づいていない。相変わらず墓石を壊すことに夢中だ。そのスイッチを押して立ち上がると、ザックがレイの墓に駆けていくのが目に入る。あ、と思う。止めた方がいいのか。しかし意外なことに、ザックはレイの墓を前にピタ、と動きを止めた。
「あいつ、壊すなって言ってたか……?」
ザックは急に冷静な声に変わった。そのまま萎えたかのようにつるはしを脇に放り出す。
(……なんか意外)
とにかく、あのスイッチが扉を開けるスイッチなら、レイは先に進めるようになっただろう。
(……わたしも行った方がいいかな)
そう思ったが、これ以上ザックが何をしでかすか分からない。しばらくはザックと一緒にいよう、と思い、Aはレイの墓にもたれかかった。
(……お墓、壊されちゃったか)
Aは重くため息をつく。何も話す気になれず、墓場──跡地──は静寂につつまれた。
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暇人9号(プロフ) - リア.........。オリキャラと同じじゃん。 (2020年12月20日 13時) (レス) id: 2a2b2b394e (このIDを非表示/違反報告)
9Sに殺されたいロリコン - リアさん» 派手さがますのでアタシはオススメしませんけどね…… (2019年12月8日 18時) (レス) id: 23809db5c5 (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 「ベースデザインを設定」で背景は変更できますよ。 (2019年5月25日 19時) (レス) id: 1e8f4916fe (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 日向クロさん» 初めまして、コメントありがとうございます!この小説を読んで下さり、ありがとうございます。背景の色、ですか…実はあまり占ツクの使い方分かってないのです(汗)なるほど、背景の色を変えれるのですね!色々試してみますね、ありがとうございました! (2019年4月27日 9時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 初めまして。とても面白いお話ですね!ところで、背景の色を変えたりはしないのですか?それやると面白さが上がると思いますよ! (2019年4月21日 18時) (レス) id: eebf1123f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リア | 作成日時:2018年8月4日 21時