検索窓
今日:7 hit、昨日:46 hit、合計:278,918 hit

38話 ページ39

「……これ、仕掛けのヒントなのかな……」



 レイは呟く。図面のこの訳の分からなさが暗号なのでは、と考える。



「……」



 なにか考えつきそうになった時、唐突に響いた轟音によって思考は遮られた。



 ガンッ、ガンッ、ガンッ!!



(私のお墓……壊されてなかったらいいけど)



 一方、墓場ではザックが岩につるはしを叩きつけていた。



「固ってぇ! バカかよ!」



 ザックの一撃は跳ね返された。しかしその事によってザックはスイッチが入ったらしい。何度もつるはしを叩きつける。



(……うるさい!)



 Aは墓の陰に隠れて、耳を塞ぐ。様子を見ていると、やがて墓石は砕け散ってしまった。



「ハハハハハ! やってやった! 雑な墓石のくせに頑丈に作ってんじゃねぇよ!」




 ザックは勝ち誇ったように笑った。が、次にはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。



「……そうだ。こうなったら、他の墓石もぶっ壊してやる!」


「……ザック!」



 もう勘弁してほしい。そう思ってAがザックに呼びかけたが、遅かった。



「ヒャハハハハハ───!」



 お馴染みの狂気的な笑い声をあげて、目に付いた墓石から手当たり次第につるはしを振り下ろし始める。



(……うるさ! すっごいうるさい!)



 第二墓場に避難しようかと思った矢先、目の前の墓石が木っ端微塵に砕け散った。



(……あっぶな! 死ぬ!)



 と、目の前に謎のスイッチがあるのを見つける。これで扉が開くかもしれない。



(……お手柄、ザック!)



 本人は何も気づいていない。相変わらず墓石を壊すことに夢中だ。そのスイッチを押して立ち上がると、ザックがレイの墓に駆けていくのが目に入る。あ、と思う。止めた方がいいのか。しかし意外なことに、ザックはレイの墓を前にピタ、と動きを止めた。



「あいつ、壊すなって言ってたか……?」



 ザックは急に冷静な声に変わった。そのまま萎えたかのようにつるはしを脇に放り出す。



(……なんか意外)



 とにかく、あのスイッチが扉を開けるスイッチなら、レイは先に進めるようになっただろう。



(……わたしも行った方がいいかな)



 そう思ったが、これ以上ザックが何をしでかすか分からない。しばらくはザックと一緒にいよう、と思い、Aはレイの墓にもたれかかった。



(……お墓、壊されちゃったか)



 Aは重くため息をつく。何も話す気になれず、墓場──跡地──は静寂につつまれた。

39話→←37話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (124 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
276人がお気に入り
設定タグ:殺戮の天使 , ザック
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

暇人9号(プロフ) - リア.........。オリキャラと同じじゃん。 (2020年12月20日 13時) (レス) id: 2a2b2b394e (このIDを非表示/違反報告)
9Sに殺されたいロリコン - リアさん» 派手さがますのでアタシはオススメしませんけどね…… (2019年12月8日 18時) (レス) id: 23809db5c5 (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 「ベースデザインを設定」で背景は変更できますよ。 (2019年5月25日 19時) (レス) id: 1e8f4916fe (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 日向クロさん» 初めまして、コメントありがとうございます!この小説を読んで下さり、ありがとうございます。背景の色、ですか…実はあまり占ツクの使い方分かってないのです(汗)なるほど、背景の色を変えれるのですね!色々試してみますね、ありがとうございました! (2019年4月27日 9時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 初めまして。とても面白いお話ですね!ところで、背景の色を変えたりはしないのですか?それやると面白さが上がると思いますよ! (2019年4月21日 18時) (レス) id: eebf1123f7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:リア | 作成日時:2018年8月4日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。