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30話 ページ31

二人はいまだ言い争いを続けていた。



「あぁ!? テメェ死にたいのか!?」

「だから死にたくないって言ってるよね!?」



 殺人鬼はカマを振りかざし、それを何度もAに向かって振り下ろす。その度に間一髪、持ち前の運動能力でAは避け続けていた。



(レイはいつの間にかいなくなってるし……まぁわたしが熱くなってる間にいなくなったんだろうな……早くエレベーター開けて……死んじゃう……!)



 そろそろ息がきれてきていた。すると、祈りが届いたのか、エレベーターの扉が重い音を立ててゆっくりと開いた。



「……」



 急に殺人鬼は大人しくなった。カマを下ろすと、不敵な笑みを浮かべて、Aを振り返る。



「……お前の相棒、やるじゃねぇか」



 肩で息をしながら、汗をぬぐう。そして自慢げな顔をして、殺人鬼を一瞥した。



「……わたしも、そう思う」



 殺人鬼は上機嫌になって、愉快そうに笑いだした。と、レイが息を切らして、小走りでこちらに走ってきた。レイはAの姿を見ると、安心して息を吐き出す。



「おい、このエレベーターを開けたのはお前か?」



 殺人鬼は満足気な顔でレイを見る。



「……うん、そう」



 レイが抑揚のない声でこたえた。



「……ハハッ、そうか、お前か!」



殺人鬼はどこか嬉しそうな声でそう笑った。



「なぁ、お前、さっき殺してほしいって俺に言ったよなぁ?」


「……言った」


「俺、馬鹿なんだよ。だから、さ……一緒にここからでる手助けをしてくれよ。そんでもって、外に出ればお前もちったぁいい顔するかもしれねぇだろ」



 殺人鬼は悪戯そうにニヤリと笑うと、どこまでも無表情なレイの顔を見て、その首筋にカマを突きつけた。



「そしたらお前を……────殺してやるよ」



 レイがはっと目を見開いた。



「……本当?」


「あぁ。お前がちゃんとやればな。でも、下手な真似はするな。あと、あんまはしゃぐんじゃねーぞ。……俺さぁ、幸せそうな奴とか、うれしそうにしてる奴を見ると、つい殺しちまう」



 レイの目を見ながらそう言うと、次にAを振り返る。



「お前もだ。下手な真似したら、すぐ斬ってやる。そんで、外に出たらお前も殺してやるよ」


「だからわたしは死にたくないってば……」



 Aは苦笑した。危ない思考の持ち主ではあるが、頼りにできそうな人が出来たことを、Aは嬉しく感じていた。

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暇人9号(プロフ) - リア.........。オリキャラと同じじゃん。 (2020年12月20日 13時) (レス) id: 2a2b2b394e (このIDを非表示/違反報告)
9Sに殺されたいロリコン - リアさん» 派手さがますのでアタシはオススメしませんけどね…… (2019年12月8日 18時) (レス) id: 23809db5c5 (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 「ベースデザインを設定」で背景は変更できますよ。 (2019年5月25日 19時) (レス) id: 1e8f4916fe (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 日向クロさん» 初めまして、コメントありがとうございます!この小説を読んで下さり、ありがとうございます。背景の色、ですか…実はあまり占ツクの使い方分かってないのです(汗)なるほど、背景の色を変えれるのですね!色々試してみますね、ありがとうございました! (2019年4月27日 9時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 初めまして。とても面白いお話ですね!ところで、背景の色を変えたりはしないのですか?それやると面白さが上がると思いますよ! (2019年4月21日 18時) (レス) id: eebf1123f7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リア | 作成日時:2018年8月4日 21時

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