19話 ページ20
診察室のすぐ前の廊下は鉄格子で閉ざされていた。手をかけると、カシャン、と冷たい音が鳴る。扉は開かない。
「たしかここの鍵は診察室にあったはずだよ」
ダニーが少し真面目な顔をしてそう言う。レイはダニーを少し見てから、診察室の中へと入った。デスク、病院にありそうなベッド、そして備品が入った棚がいかにも、という風に置いてある。
「……ここかな」
Aが棚に手を伸ばすと、突然ダニーにその手をはたきおとされた。
「ここの備品は古いからあまり触らないように。君の目に傷でもついたら大変だ」
はたかれた手が行き場をなくした。少し複雑な感情で手を引っ込める。その時、レイが椅子に向かって手を伸ばした。
「これかな……」
椅子の上にあった鍵を指先にぶら下げて、レイがダニーに訊ねると、ダニーは満足そうにうなずいた。
「レイチェル、よく見つけたね。たしか僕は、そこに座っていたんだ」
「……先生は、逃げなかったの？」
「だって、君たちが居るからね」
はぁ、とため息をつく。何を言っているのかが、いまいちわからない。Aが抱いた警戒心は少しも薄れていなかった。
レイが診察室を出ていくと、鉄格子にまっすぐ向かっていって鍵を使う。ダニーと少し距離をとりつつ、Aもそれについていった。
相変わらずフロアは薄暗い。2人を見失うことがないように、ゆっくり、ゆっくり前に進む。と、廊下の先に分厚い硝子の壁が立ち塞がった。むっとして立ち止まる。
「……ガラス張り。なんだか、君たちと僕だけで閉じ込められているみたいだね？」
ダニーのどこか酔ったような言葉選びに、返すに相応しい言葉は見つけられなかった。。Aはなにかもどかしくて、無意識に腕に爪をたてていた。ガリ、とちょっとした痛みがはしる。
「大丈夫、三人でゆっくり過ごせばなにかいいことが起こるかもしれない。レイチェルにも、Aにも、僕にとっても、いいことが、ね」
優しい笑顔。その裏になにかが潜んでいるような気がしてならない。まるで、そんな大人をたくさん見てきたかのような、薄暗い感情が心の中で渦巻く。
「……さぁ、ふたりとも。あの部屋を案内するよ。鍵はあいているから、扉をあけてごらん」
そう言ってダニーは、通り過ぎた扉を指さした。
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暇人9号(プロフ) - リア.........。オリキャラと同じじゃん。 (2020年12月20日 13時) (
レス) id: 2a2b2b394e (このIDを非表示/違反報告)
9Sに殺されたいロリコン - リアさん» 派手さがますのでアタシはオススメしませんけどね…… (2019年12月8日 18時) (レス) id: 23809db5c5 (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 「ベースデザインを設定」で背景は変更できますよ。 (2019年5月25日 19時) (レス) id: 1e8f4916fe (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 日向クロさん» 初めまして、コメントありがとうございます！この小説を読んで下さり、ありがとうございます。背景の色、ですか…実はあまり占ツクの使い方分かってないのです(汗)なるほど、背景の色を変えれるのですね！色々試してみますね、ありがとうございました！ (2019年4月27日 9時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 初めまして。とても面白いお話ですね！ところで、背景の色を変えたりはしないのですか？それやると面白さが上がると思いますよ！ (2019年4月21日 18時) (レス) id: eebf1123f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2018年8月4日 21時
