検索窓
今日:8 hit、昨日:46 hit、合計:278,919 hit

16話 ページ17

「……A、すごいね。あのシャベル、重かったのに。Aがあのシャベルでカマを止めてくれなかったら、死んでたかも……」


 Aの呼吸がようやく整うと、レイはそう話しかけてきた。


「火事場の馬鹿力、ってやつなのかな……? それか、わたしって案外運動神経いい方なのかも」


 そんなことを言ったものの、実際はどうなのかさっぱりわからない。
 B7で目覚めた時、既に記憶はほとんど残っていなかった。覚えているのは自分の名前のみ。それ以外は何もかも覚えていなかった。だから、自分の運動神経がいいのか、悪いのか、それすらも分からない。


「レイ、エレベーター開けてくれてありがとう。追いつかれそうになってたけど、レイがドアを閉めてくれたから助かった」


 レイはそれを聞いて、少し嬉しそうに微笑む。


「次はB5……あの殺人鬼みたいなのが、いるかもしれないけれど……なんだか、うまく行きそうな気がしてる、わたし」


 少し目を伏せて言うと、レイは不思議そうな顔をして、首を少し傾げた。


「……どうして?」


「……レイがいたら、なんとなく無事に脱出できそう、っていう……なんとなくの勘。……いや、ほら。さっきだって、わたしたちのコンビネーション?っていうの。結構良かったと思わない?」


 一息に言い切ってから、すこし恥ずかしくなって壁の方を見つめる。と、レイがフフ、と笑うのが聞こえて、Aは思わずレイの方を振り返った。



「頑張って、一緒にここを出ようね」


 レイが微笑んで、そう言う。それは、Aの言葉を肯定する微笑み。


「うん、頑張ろう。……B5。着いたね」


 エレベーターが停止して、ドアが開く。目の前に広がっていたのはB6とは全く違う景色。消毒液の匂いが鼻腔をつく、病院のようなフロアが広がっていた。

17話→←15話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (124 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
276人がお気に入り
設定タグ:殺戮の天使 , ザック
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

暇人9号(プロフ) - リア.........。オリキャラと同じじゃん。 (2020年12月20日 13時) (レス) id: 2a2b2b394e (このIDを非表示/違反報告)
9Sに殺されたいロリコン - リアさん» 派手さがますのでアタシはオススメしませんけどね…… (2019年12月8日 18時) (レス) id: 23809db5c5 (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 「ベースデザインを設定」で背景は変更できますよ。 (2019年5月25日 19時) (レス) id: 1e8f4916fe (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 日向クロさん» 初めまして、コメントありがとうございます!この小説を読んで下さり、ありがとうございます。背景の色、ですか…実はあまり占ツクの使い方分かってないのです(汗)なるほど、背景の色を変えれるのですね!色々試してみますね、ありがとうございました! (2019年4月27日 9時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 初めまして。とても面白いお話ですね!ところで、背景の色を変えたりはしないのですか?それやると面白さが上がると思いますよ! (2019年4月21日 18時) (レス) id: eebf1123f7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:リア | 作成日時:2018年8月4日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。