16話 ページ17
「……A、すごいね。あのシャベル、重かったのに。Aがあのシャベルでカマを止めてくれなかったら、死んでたかも……」
Aの呼吸がようやく整うと、レイはそう話しかけてきた。
「火事場の馬鹿力、ってやつなのかな……? それか、わたしって案外運動神経いい方なのかも」
そんなことを言ったものの、実際はどうなのかさっぱりわからない。
B7で目覚めた時、既に記憶はほとんど残っていなかった。覚えているのは自分の名前のみ。それ以外は何もかも覚えていなかった。だから、自分の運動神経がいいのか、悪いのか、それすらも分からない。
「レイ、エレベーター開けてくれてありがとう。追いつかれそうになってたけど、レイがドアを閉めてくれたから助かった」
レイはそれを聞いて、少し嬉しそうに微笑む。
「次はB5……あの殺人鬼みたいなのが、いるかもしれないけれど……なんだか、うまく行きそうな気がしてる、わたし」
少し目を伏せて言うと、レイは不思議そうな顔をして、首を少し傾げた。
「……どうして?」
「……レイがいたら、なんとなく無事に脱出できそう、っていう……なんとなくの勘。……いや、ほら。さっきだって、わたしたちのコンビネーション?っていうの。結構良かったと思わない?」
一息に言い切ってから、すこし恥ずかしくなって壁の方を見つめる。と、レイがフフ、と笑うのが聞こえて、Aは思わずレイの方を振り返った。
「頑張って、一緒にここを出ようね」
レイが微笑んで、そう言う。それは、Aの言葉を肯定する微笑み。
「うん、頑張ろう。……B5。着いたね」
エレベーターが停止して、ドアが開く。目の前に広がっていたのはB6とは全く違う景色。消毒液の匂いが鼻腔をつく、病院のようなフロアが広がっていた。
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暇人9号(プロフ) - リア.........。オリキャラと同じじゃん。 (2020年12月20日 13時) (レス) id: 2a2b2b394e (このIDを非表示/違反報告)
9Sに殺されたいロリコン - リアさん» 派手さがますのでアタシはオススメしませんけどね…… (2019年12月8日 18時) (レス) id: 23809db5c5 (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 「ベースデザインを設定」で背景は変更できますよ。 (2019年5月25日 19時) (レス) id: 1e8f4916fe (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 日向クロさん» 初めまして、コメントありがとうございます!この小説を読んで下さり、ありがとうございます。背景の色、ですか…実はあまり占ツクの使い方分かってないのです(汗)なるほど、背景の色を変えれるのですね!色々試してみますね、ありがとうございました! (2019年4月27日 9時) (レス) id: aa65f53a7e (このIDを非表示/違反報告)
日向クロ - 初めまして。とても面白いお話ですね!ところで、背景の色を変えたりはしないのですか?それやると面白さが上がると思いますよ! (2019年4月21日 18時) (レス) id: eebf1123f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リア | 作成日時:2018年8月4日 21時