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「優しいね。おばあちゃんやお母さんをがっかりさせたくなかったんだよね。」
「…そうじゃないけど、」
待ち合いのソファーで雑誌を読む母親をちらちら気にしながら呟く
そのぽってりとした小さな唇に、主張しない薄いピンクをのせていく。
もとの唇の色に似た色を選んだ。
「私も紫が1番好き。一緒だね。」
通常のオープン時間になり、BGMが流れ始める。
今日はボサノバだ。
「ほら、お着物ももっと素敵になったよ。」
その声に鏡を訝しげに見た少女の目がみるみる大きく開いていく。
目尻に向けて淡くのせられたアイシャドウ。
黒の着物がぐっと華やかさを増した。
「カナコちゃんが選んだ紫、とても似合うね。
七五三、おめでとう。」
「…あっありがとう!」
急に大きな声で言って、おかあさん見て!と小走りで母親の元へかけていった。
お客さんに挨拶した流れで側に来た店長が「やったな」と笑いかける。
カナコちゃんはご機嫌で手を振りながら店を出て行った。
そんな娘を見ている母親の方がもっと嬉しそうだった。
そしてそれを見送るAは幸せだった。
その人だけの綺麗を作る時間。
鏡を見たその目が輝く瞬間。
私はこれを見続けたい。
その為に今、1番大事なことを、私はする。
車が見えなくなってAは、深く呼吸をする。
よし、大丈夫。ふらつかない。
これが私の夢だから。
これが私の幸せだから。
見失わない、絶対に。
.
Memories of MIMOSA→←これが私の夢だから。
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おけ(プロフ) - 一気に読みました‼︎面白いです!更新待ってます‼︎ (2022年1月17日 18時) (レス) @page33 id: a8986157d1 (このIDを非表示/違反報告)
みたろう(プロフ) - このお話大好きで何度も読み返しています。更新楽しみに待っています。 (2021年12月19日 2時) (レス) @page33 id: a75885931d (このIDを非表示/違反報告)
みあも(プロフ) - 途中途中泣きながらここまで一気読みしました。切なすぎて苦しいです(; ;)更新楽しみに待ってます!二人が幸せになれますように!! (2021年4月30日 7時) (レス) id: 2123f5cbc8 (このIDを非表示/違反報告)
ララ - 1からここまで、イッキ読みでした!本当に、キュンキュンするだけじゃなくて、お話そのものが綺麗で、大好きです!ラスト更新、ずっと楽しみにしています! (2021年1月31日 11時) (レス) id: 0d04b07c3e (このIDを非表示/違反報告)
ナナ - 素敵なお話にどんどん引き込まれて、1話から一気に読んでしまいました。読めば読むほど2人の未来は?!2人の幸せは?!と気付けば涙腺まで揺さぶられました。ラスト、2人の幸せを願いながら待ってます! (2020年12月9日 6時) (レス) id: 57a24d82e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽるこ | 作成日時:2019年8月25日 16時