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「これね、学祭のショーで参考になるかなって。」
「がくさい。」
「うん、学校で毎年するお祭りみたいなもので、私達はグループでショーをして優勝を決めるの。」
説明すると、テヒョンくんの目が爛々とした。
「メイクのショー？」
「そう、テーマを決めてモデルさんにその場でメイクをするよ。」
「それ、いつが、がくさい？」
聞かれてAは迷わずに答える。
「10月半ばだよ。テヒョンくん見に来れるかな。」
お店が大丈夫なら、見にきて欲しいな、と思った。
そりゃ相当に緊張はするだろうけれど、自分が好きなことしている姿を見て欲しいとただそう思った。
たわいも無いAの問いかけに
テヒョンくんは少しだけ間を置いて
「Aちゃん、
ぼくの、にほんにいられるじかん、」
続けた言葉に
Aは目の前が暗くなっていく。
.
.
.
「10がつのどこかまでになりました。
だから、
やくそくができない。」
そう告げるテヒョンくんが悲しい程に穏やかで
その瞳が揺れることも無かった。
心臓がばくばくばくと悲鳴をあげるのに、
Aはどこか冷静だった。
違う、冷静になったのではなく
この状況から逃れる為に、第三者になろうとしてる。
いつもくるくると変わるテヒョンくんの瞳の色が、今は全然、読めない。
「年末まで、だったけど、そっか、早くなったんだね。
そっか、じゃあ、そうだよね、来れるか分からないよね。」
自分に言い聞かせるように言うと
空になった紫の皿を見つめようとしてすぐ
だめだ、全部崩れてしまう、と
「テヒョンくんごめん、もう帰らなきゃいけなかった、
みさとさん、すみません、お会計お願いします！」
Aは急いで会計を済ませた。
みさとさんもオーナーも一瞬驚いていたが
何も言わなかった。
ドアから出るときに、オーナーの心配そうな顔が見えて
みさとさんが「気をつけて帰ってね」と背中に手を添えた。
テヒョンくんがどういう顔をしていたか
見る勇気は無かった。
足早に駅まで歩きながら
短くなった髪の先に、ぽつ、と雫が落ちて
冷たさが染みる。
遠くで雷が鳴りだした。
テヒョンくんが追いかけて来なくて
ああ助かった、と感じながら
膝から崩れそうな感覚を振り切り
Aはいつの間にか、ただ、走っていた。
.
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おけ(プロフ) - 一気に読みました‼︎面白いです！更新待ってます‼︎ (2022年1月17日 18時) (
レス) @page33 id: a8986157d1 (このIDを非表示/違反報告)
みたろう(プロフ) - このお話大好きで何度も読み返しています。更新楽しみに待っています。 (2021年12月19日 2時) (レス) @page33 id: a75885931d (このIDを非表示/違反報告)
みあも(プロフ) - 途中途中泣きながらここまで一気読みしました。切なすぎて苦しいです(; ;)更新楽しみに待ってます！二人が幸せになれますように！！ (2021年4月30日 7時) (レス) id: 2123f5cbc8 (このIDを非表示/違反報告)
ララ - 1からここまで、イッキ読みでした！本当に、キュンキュンするだけじゃなくて、お話そのものが綺麗で、大好きです！ラスト更新、ずっと楽しみにしています！ (2021年1月31日 11時) (レス) id: 0d04b07c3e (このIDを非表示/違反報告)
ナナ - 素敵なお話にどんどん引き込まれて、1話から一気に読んでしまいました。読めば読むほど2人の未来は？！2人の幸せは？！と気付けば涙腺まで揺さぶられました。ラスト、2人の幸せを願いながら待ってます！ (2020年12月9日 6時) (レス) id: 57a24d82e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽるこ
| 作成日時：2019年8月25日 16時
