33. ピンチと記憶 A side ページ36
まずいって！研究員がどんどん近づいてきてる…！
カズちゃんが遠隔で頑張ってくれてるのに…！
「…隠れる場所はない？」
「……！あそこは！？」
おれが見つけたのは、資料が置いてある棚と壁の間。
人がギリギリ入れそうな隙間。 …多分いける！
「確かにあそこなら、死角になって見えないかもしれない！！」
「時間がない、そこに隠れよう」
こうしてる間にも研究員はどんどん近づいてきてる。
考えついて、すぐに行動に移した。
「カズちゃん、翔ちゃん！おれたち隠れるね！」
『了解！だけど…』
『今やってた操作、一回止めないとかも…。とりあえず今できた分だけでもコピーして残しとく！』
「急いでな！」
松潤がそう言うと、カズは当たり前！と答えて思わずフッと笑ってしまった。
カズちゃんがいう当たり前は本当に、心強い！
『………よし、これで大丈夫！見つからないでよね！』
さすがカズちゃん…、もう終わらせてるし…
そうカズの声が聞こえてきて、身を引き締めた。
ｶﾞﾁｬ ｺﾂｺﾂｺﾂｺﾂ
「おい、これはここでいいのか？」
「はい。あ、その資料はこっちです」
「お、そうだったな。サンキュー」
「いえいえ。あ、これはそっちに」
「ん。…おし、戻るか」
「ですねー」
ﾄﾞｻｯ ｺﾂｺﾂｺﾂｺﾂ ﾊﾞﾀﾝ
だぁーー！よかった、見つからなかった〜！！
「ぶ、無事見つからなかったよ」
おれがそう連絡している間に、リーダーと松潤は出入り口付近に近づき確認していた。
「…うん、大丈夫だ」
「さっきの2人組は、もう遠くに行ったし、他にここに来そうな人はいないよ」
2人がそういうと、安心したような声が聞こえてきた。
そして、引き締まった声で頼もしいことを言ってくれた。
『了解！じゃ、カズ』
『うん。では、続きをやりますよ』
カズに資料を任せて、おれたちはさっきの2人組について話していた。
「さっきの2人、男女だったよな」
「声からしてそうだな…。資料を分けて置いてた」
「…その資料、見れないかな…」
さっき、２人組がいた正確な位置はよくわからないけど、声がした場所はだいたいわかる。
「…ここ資料、増えた」
呟くように言ったリーダーの声におれと松潤は、思わず苦笑いをした。
リーダーは、5人の中でも特に記憶力がいいんだ。
どんな些細なことでも覚えているんだ。
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作者名：華美月 x他1人 | 作成日時：2022年10月1日 23時
