28. 報告 S side ページ31
事情聴取も終わり、その日の夜にまとめを全員でしていた。 カズも気になってたみたいだし…。
「ってわけで、被害者との関係はわかったよ」
「そっか…。知子さんの娘さんが、被害者だったなんて知らなかったな…。それも、美知さんの親友だなんて…」
知らなかったとはいえ、2人と交流のあるカズにとっても辛いことなんだろう…。
「明日からは関係者の絞り込みと、被害者のその日の足取りを探そうと思ってる」
「そうだね…。もうひとつ…知子さんと娘さんの関係を」
「もちろん、調べる」
真面目な顔で見つめてくるカズに、おれは真面目に頷いた。
「カズのほうはまとまったのか？」
潤が雰囲気を変えるためか、はたまた普通に気になっただけなのか、カズに聞いていた。
「ん〜？ああ、まとめといたよ」
そういって出してきたのは、まとめた資料。
中を見ると、やっぱり尊敬するくらい丁寧に且つ見やすくまとめられた資料の数々。
これだけあれば…詐欺グループを引っ張れる！
「これ、ヒナに渡しておいて？」
「おう、任せとけ」
そういって笑って潤が頷いた。
ヒナって言うのは、3課にいるおれたちの警察学校の時の同期である1人で本名は村上信吾。
カズと仲が良くて、カズは村上を「ヒナ」って呼ぶんだ。
「他の依頼は？いま、どういう状況なの？」
雅紀がカズに聞くと、カズは気まずそうに苦笑いして答えた。
「それがさぁ、今日新たに引き受けた依頼は翔ちゃんの調べた資料と、ぼくの調べた資料を合わせて依頼者に渡したから、無事完結。
あとの政府の依頼はね〜、な〜んにも手をつけてない状況です！」
カズがそういうと、カズに聞いた雅紀本人もあっ！という顔をしてから気まずそうにしていた。
「そういえばおれ、なんにも手、つけてなかった…」
…おい！
「カズと雅紀の担当だったのにか？ったく〜、ちゃんとやれよな〜」
潤が呆れたようにいうと、カズが膨れっ面で拗ねた(笑)
「だって〜、喫茶店と詐欺グループ関係の依頼と身元調査依頼で、手をつける暇がなかったの！」
「おれだって仕事あったし！」
「あなたのほうが調べやすい状況にいるでしょ！」
「それはそうだけどー！！」
あぁ、また始まった…。
まぁ、この2人だからこその言い合いだからおれたちも呆れるだけでなにもしないけど(笑)
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作者名：華美月 x他1人 | 作成日時：2022年10月1日 23時
