20. 無駄足はない M side ページ23
「で？どうするんだ？会いに行く？」
おれがそう聞くと、翔さんは考え始めた。
あのあと、おれたちは警視庁の特別課に来た。
昨日、本部から来た仕事をこなすために。
なんだけど…、目星の2人に会うか迷ってる…。
「会いたいのは山々だけど、接近するのが難しいだろ？第一住んでるところはわかってない」
「でもカズちゃんとリーダーが知り合いなんでしょ？」
「知り合いだとしても家まではわかんないだろ…」
翔さんとおれご考え込んでいると、相葉さんがキョトンとした顔で言った。
「なんで？喫茶店に居ればくるでしょ」
「「…あ」」
そうじゃん、そうだったじゃん…！
相葉さんがさも当たり前のように言うのに対し、おれと翔さんはすっかり忘れていた。
「そういえばそうだな…。喫茶店の常連客だって言ってたし…。今日も来るんじゃないかな？」
「じゃ、喫茶店で待ってるか？」
「確かにそうすれば話は聞けるな…」
「だけどなぁ〜、今日も来るのかわかんなくね？」
あ〜、話が進まない！
「とりあえず、喫茶店行こうよ！」
「あのな雅紀。いるかどうかわからないのに行ったって2人のじゃまにならないか？」
翔さんが宥めるようにいうが、またも相葉さんはキョトンとしていった。
「刑事は足で動くってテレビでいってたよ？無駄足でも行かないよりはよくない？」
確かに…。相葉さんの言う通りだよな…。
「そうだな！おれもいいと思う。喫茶店行こうぜ！」
おれも翔さんにそういうと、しょうがないかぁって顔をして頷いた。
「念のため2人に連絡して行こっか！」
そういって翔さんが2人に連絡しに行った。
「実際に2人に会わないとわからないことだってあるしね。無駄足なんてきっとないんだよ」
翔さんが向かったほうをみながら、真面目な顔をしてそう断言する相葉さんに、おれははっとした。
無駄足だった。 そうやって言われたことが何度もある。でもきっと、この人にとっては無駄足なんてひとつもなかったんだろうな…。
きっといままでもこれからも。
この人は無駄足だなんて思わないんだ。
「そうだな。やってみないとわからないことがあるように、実際に会わなきゃわからないことだってある」
「そうそう！さっすが松潤、わかってる！」
おれがそう言うと、さっきの雰囲気とは逆にいつもの明るく能天気な相葉さんに戻っていた(笑)
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作者名：華美月 x他1人 | 作成日時：2022年10月1日 23時
