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# Aran
年の変わった初夏のこと。
ついにその日はやってきた。
いつものように俺の実家で休んでいたAが、下腹部の痛みを訴える。
いつもは割と我慢してることが多くて、あまり俺に教えてこないけど、
Aの陣痛の間隔が、明らかに短くなり、予定日より早いものの、今日なんだなって理解した。
「エンジンかけてくる」
急ぎ車を準備して、実家からいつもの病院へ走らせる。
いつでも入院出来るようにと、部屋と助産師さんを押さえていて、あとは向かうだけ。
「…俺が着いてるから」
信号の間に手を繋ぎ、不安そうな表情を少しでもと拭い去る。
俺に出来ることは本当にこれだけ。
あとは、Aが頑張ってくれるよう励まし応援するだけ。
内診へと連れて行かれようとするA。
「立ち会ってもいい？」
「…恥ずかしい」
「そっか、じゃあ心細くなったらいつでも呼んで」
どれだけか細い声で呼んだとしても、俺は気付いてあげられるから。
あとはただ、祈るだけだった。
俺の母さんも、Aのお母さんも、怜央も駆け付けた。
「顕嵐…」
不安そうな顔をする怜央に、
「大丈夫だよ」
「本当？」
「何で俺がお前を励まさなきゃなんねーんだよ、」
「だって、緊張しちゃって」
「お前は緊張しなくていい、するとしたら普通俺だから」
そんな俺ら兄弟のやり取りを見て、
「顕嵐くんは、落ち着いてるわよね」
Aのお母さんが言う。
「顕嵐は昔からそうなのよ。精神的に大人で。
…怜央は、ね…」
俺の母さんの指摘に、頰を膨らます弟。
「顕嵐くんは、まだ若いのにすっかりパパって顔付きね」
Aのお母さんは、さすがAを産んだ人だけある。
俺が言って欲しい言葉で、俺を持ち上げてくれるのが上手い。
「…俺がちゃんとしてないと。
一番大変なのはAなんで」
そう答えると、まるで自分に言い聞かせたかのよう、気が引き締まる心地がした。
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りりちゅん(プロフ) - いつも更新楽しみにしています！完結してしまうのはとても寂しいですが応援しています！ (2017年5月25日 1時) (
レス) id: c321fe6a1f (このIDを非表示/違反報告)
踊れる人大好き芸人(プロフ) - nnm2000さん» 応援ありがとうございます！頑張ります！ (2017年5月17日 21時) (レス) id: 698c405fce (このIDを非表示/違反報告)
nnm2000(プロフ) - くすぐったくてキュンキュンします…頑張ってください！！ (2017年5月16日 19時) (レス) id: 432ef5cf0a (このIDを非表示/違反報告)
踊れる人大好き芸人(プロフ) - ゆうなさん» コメントありがとうございます。褒め言葉として受け取って、邁進します！（笑）本当は書いてる方も恥ずかしいのですが、徐々に慣れました…。 (2017年5月15日 14時) (レス) id: 698c405fce (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - 読んでるこっちが恥ずかしくなる！頑張って下さい！！！ (2017年5月15日 11時) (レス) id: 9b29f9a6ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：踊れる人大好き芸人
| 作成日時：2017年5月5日 20時
