第卅陸話＿藤田さん ページ39
『え』
思いもよらない小泉さんの言葉に、思わず声が出た。しかし、小泉さんはそのことを気にする様子はなく、さらに話を進めていく。
「１つ聞くのも２つ聞くのも変わりません！私はヤマタノオロチを、Aサンはナイルサンという方を探せば何の問題ありませんね！2人で動けば、より多くの方に尋ねられますし！」
『で、でも、それは小泉さんにご迷惑が』
「……Aサーン……そこは“八雲サンありがとう”ですよ！それに、魂依のあなたと一緒に行動できれば、ヤマタノオロチも探しやすいではありませんか！」
「ね？」と言うように手を差し出す小泉さん。確かに、物の怪を見えない者が探すよりも、見える者が探す方が見つけやすいとは思う。確かに利害は一致している気がする。
近くにいる警察官の男性に目を向けるが特に異論はないようで、話の行方をじっと見守っているようだった。
私は彼の気持ちに応えるべく手を取る。
『小泉さ……』
「ノンノン！八雲とお呼びくださいAサン？」
『や、八雲さん』
「ハイ」
『宜しくお願いします』
そう言うと手をキュッと握り返されブンブンと上下に振られた。振り回されつつも、彼の思いやりの深さに心が温まる。
「というわけで、藤田サンにもご協力いただかなければなりませんね！」
「……なに？」
この人藤田さんて言うのか。藤田さんは八雲さんの言葉を聞き、頭に疑問符を浮かべている。
「ナイル、という名前からして日本の方ではないでしょう。ということは賓客として記録が残っているはずです。密入国の可能性もゼロではありませんが、もしその事が発覚すれば警察の仕事でしょうし」
「……いいだろう。娘、調べてやる。明日、同じ時間にここへに来い」
『！』
「但し、今後俺がお前に協力を要請したときには魂依の力を貸せ。いいな？」
藤田さんの言葉にこくりと頷く。
それを見た藤田さんは髪を翻して去って行った。
思わぬ協力者だ。警察官の協力者とはなんとも心強い。去っていく藤田さんを八雲さんと一緒に見送る。
その後、八雲さんと私は仕事の時間まで一緒に聞き込みをして回った。
そして双方、なんの情報も得られなかった。
見つかるのだろうか……。
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小崎相良(プロフ) - あららさん» コメントありがとうございます！私も芽衣ちゃん好きです！こちらこそ、これからも宜しくお願いします！ (2019年6月30日 20時) (
レス) id: bb37bfea9e (このIDを非表示/違反報告)
あらら - めちゃくちゃ面白いです！めいちゃん好きなんで話に出てきて嬉しいです！これからも更新を楽しみに待ってます！ (2019年6月29日 23時) (レス) id: 3866ce7f97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小崎相良 | 作成日時：2019年6月15日 0時
