第廿話＿サンルーム ページ23
言われた通り、椅子に座って待つ。腰を下ろすとクッションが柔らかくしなり、座り心地の良い椅子だった。
これを日常的に使用しているのか……なんて思いながら窓を眺める。この部屋はサンルームになっており、とても大きな窓があった。アーチ状の窓からポカポカと陽の光が入り、とても暖かい。
陽に当たってぼんやりしていると、先ほどの彼が戻ってきた。そして彼は、私に勧めたテーブル席とは別の、少し離れた場所に座る。
数分後、コンコンと音が鳴り、1人の女性が現れた。明るい色の和装に身を包んだその女性は、「失礼します」と言って机の上にティーカップを置く。
『え、あ、ありがとう……ございます』
「はい、ごゆっくり」
その女性は部屋からスタスタと出て行った。エプロンをしているその姿から、お手伝いさんとかなのだろう。
……綺麗な人だったなぁ。女性らしい家庭的な方だった。明治では女性はこうあるべきなのか。
お手伝いさんがいなくなるとまた、静寂が訪れる。
芽衣ちゃんはまだ、帰らない。
少ししてふと視線を青年に向けると、床に座っているのが見えた。体調が悪いのかと思ったがそうではないらしい。
彼は筆を手に持ち、何かを書いていた。
鴎外さんの家に住んでいる、ということは彼も小説家なのだろうか？そんなことを思いながらぼんやりと眺める。
「………なに」
『！』
こちらの視線に気づいていたらしい。
青年がこちらを向く。
「……何か用？」
『……っ、えっと、何してるのかな、と』
「………絵を描いてるんだ」
『絵、ですか？』
「そう」
そう言って、青年は視線を紙へと戻す。ここで止まってしまえば、また会話は無くなってしまうだろう。
こちらから動かなくては。
『あの、見せていただいてもよろしいですか？』
.
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小崎相良(プロフ) - あららさん» コメントありがとうございます！私も芽衣ちゃん好きです！こちらこそ、これからも宜しくお願いします！ (2019年6月30日 20時) (
レス) id: bb37bfea9e (このIDを非表示/違反報告)
あらら - めちゃくちゃ面白いです！めいちゃん好きなんで話に出てきて嬉しいです！これからも更新を楽しみに待ってます！ (2019年6月29日 23時) (レス) id: 3866ce7f97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小崎相良 | 作成日時：2019年6月15日 0時
