第拾伍話＿魂依 ページ17
『たまより？』
「どうなの？」
どうなのもなにも魂依が何なのか、そこがわからないので返事ができない。
黙ったまま俯いているとそれを見かねてか、菱田さんが教えてくれる。
「……魂依っていうのは物の怪が見える人の総称。物の怪が何かはわかる？」
『はい』
「物の怪はさ、誰にでも見える訳じゃないんだよ。昔はもっと見える人がいたらしいんだけどねぇ……その人数はどんどん減ってる。今じゃ魂依はとっても希少な存在なのさ」
そう言いながら音奴さんは私の頭をぽんぽんと撫でた。希少な力、なのか。
今まで見たことがなかった世界に驚く。霊感や第六感というものの存在は信じていた。信じてはいたけれど、自らに備わっているとは思わなかった。
「ここにいるほとんどの人がこの子の事は認識できないんだ。いることに気が付かない。見えないのが普通、なんだよ。わかる？……それにしてもあんたさ、魂依も知らないなんて……変な服着てるだけじゃなくて常識までないの？」
『……』
驚き、固まっている私を見て、うさぎ連れの青年が首を傾げた。
……返す言葉がない。この世界の、この時代の常識を私は何も知らない。
そのあとも散々何かを言われたが、私はそれどころではなかった。
余計な力を持っていることが発覚した上に、一文無し。
常識だってわからない。
その上この時代では今の服装では過ごせない。
馴染むためには服装も揃えなくてはならないだろう。
これからやらなければいけないことが、手に入れなければならないものが多すぎて、私は頭を抱えた。
考えても考えても、結論は出てこない。
時間だけが刻々と過ぎていった。
そうこうしているうちに宴会は終わりを迎え、参加していた人たちが次々に帰りだす。
ぼんやりとその光景を眺めていると、芽衣さんが駆けてきた。
「Aさん！」
『芽衣さん？どうしたの？』
「あの、あのですね、鴎外さんが」
慌てている様子の芽衣さん。すると、肩で息をする芽衣さんの後から、鴎外さんが現れた。
「僕の家に来ないかい？」
『！』
驚きのあまり、開いた口が塞がらなかった。
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小崎相良(プロフ) - あららさん» コメントありがとうございます！私も芽衣ちゃん好きです！こちらこそ、これからも宜しくお願いします！ (2019年6月30日 20時) (
レス) id: bb37bfea9e (このIDを非表示/違反報告)
あらら - めちゃくちゃ面白いです！めいちゃん好きなんで話に出てきて嬉しいです！これからも更新を楽しみに待ってます！ (2019年6月29日 23時) (レス) id: 3866ce7f97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小崎相良 | 作成日時：2019年6月15日 0時
