第拾話＿常盤 ページ12
赤い着物の女性は目が合うとにっこりと笑った。
とても背の高い女性で必然的に見上げる形になってしまう。彼女は着物を着ていてもスタイルの良いことがわかる程、容姿端麗だ。
鴎外さんは軽く手を上げ、彼女に向かってにっこりと笑いかける。
「遅れてしまってすまないね」
「森先生が遅刻だなんて珍しいじゃないか。何かあったのかい？」
「少し拾い物をね」
「そうかい！って、もしかしてこの子かい？」
そう言って私を見つめる女性。鴎外さんが「いかにも」と少しドヤ顔で返事をしている。
じろじろと見られてとても恥ずかしい。その空気に耐えきれず、目線を泳がせる。
ふと、自己紹介をしていないことに気がついた。
『えと、あの、AAです。よ、宜しくお願いします……？』
「おや、真面目な子だねぇ。アタシは音奴。気軽に音奴さんって呼んでおくれ」
そう言われたので取り敢えず呼んでみる。
『音奴さん？』
「なんだい？」
『え、あ、呼んだだけです……』
「そうかい！あんた可愛いねぇ！」
そう言って頭をよしよしと撫でてくれる。
嬉しいやら、恥ずかしいやらだ。
その後、音奴さんの案内で少し広い大広間へと通される。
その部屋の中には若い人からご年配の方まで様々な年齢の方がいた。
鴎外さん曰く、今日は小説家の集まりなんだそう。
ぼんやりと部屋の中を眺めていると、芽衣さんがすっと近寄り「隣、良いですか？」と尋ねてきた。私がこくりと頷くと「ありがとうございます！」と嬉しそうに笑い、彼女が隣に座る。
「あの……Aさんは、今の状況をどれくらい理解されてますか？」
『？』
そう言われて芽衣さんの方を振り向くと、彼女は困ったように笑っていた。
『芽衣さんは……何を知ってるの？』
「今のAさんの現状、ですね。私がその答えを言葉で説明することは簡単なんですけど……受け入れるには心の準備がいると思うので………それでも聞きますか？」
芽衣さんの言葉にこくりと頷く。
自分がどうしたら良いか今のままではわからないのだから、教えてもらうしかない。頼るしかないこの状況は複雑だけれど。
迷惑になるだろうということは予想がつく。しかし、頼みの綱は彼女だけだ。
「教えてほしいです。芽衣さんの知っていること、全部」
私がそう言うと、彼女は「わかりました」と言って自分の知っていることを教えてくれた。
話を聞けば聞くほど、私は冷や汗が止まらなかった。
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小崎相良(プロフ) - あららさん» コメントありがとうございます！私も芽衣ちゃん好きです！こちらこそ、これからも宜しくお願いします！ (2019年6月30日 20時) (
レス) id: bb37bfea9e (このIDを非表示/違反報告)
あらら - めちゃくちゃ面白いです！めいちゃん好きなんで話に出てきて嬉しいです！これからも更新を楽しみに待ってます！ (2019年6月29日 23時) (レス) id: 3866ce7f97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小崎相良 | 作成日時：2019年6月15日 0時
