司祭の意思と自分たちの信念。 ページ47
「ここからでいいですか。」
ニックを足以外の体全てを、壁の外へ投げ出す。ハンジが手を離せば、落ちるのだ。それが、皮肉にも今の王政からみた調査兵団の状況と似ていて、滑稽に思ったレオナは少し嗤った。
「分隊長。」
「寄るな。」
モブリットの制止さえも振り払うハンジ。ニックの胸倉を掴むその手は、怒りで震えている。
「ふざけるな。お前らは我々調査兵団がなんのために血を流しているか知っているか。巨人に奪われた”自由”を取り戻すためだ。そのためなら命だって惜しくなかった。」
ハンジの言うことは適等である。
「いいかお願いはしてない。命令した。話せと。そしてお前が無理なら次だ。なんにせよお前一人の命じゃ足りないと思っている。」
「手を離せ。」
ニックはハンジの脅しも気にせず喚く。
「今離していいか。」
「いまだ。」
「わかった死んでもらおう。」
それでも話さないニックに、レオナは相当な信念と覚悟を感じた。なんの為かわからない。だが、自分達が命を掛けて戦っているのと同じだということは感じ取れる。
「私を殺して学ぶが良い。我々は必ず使命を全うする。だから今この手を離せ。」
その場所のときが止まるように静まり返った。ハンジは、ニックを床へ投げ捨てるとレオナが座っている隣に座り込んだ。
「はは、うそ、嘘。冗談。」
ハンジの声や指先は、小さく震えている。
「ねぇニック司祭。壁って全部巨人でできるの？あぁ、いつの間にか忘れていたよ。この感覚も、初めて壁の外に出たとき以来の感覚だ。」
ハンジは淡々と喋りつくす。そして、レオナと同じ気持ちを言葉に放った。
「こわいなぁ。」
「ハンジ。」
レオナは、ハンジの背中を摩ると街全体を見渡した。自分らは巨人によって巨人から守られているという衝撃を、対比するようにぼんやりと眺めた。
「一度兵舎に戻ろう。モブリット。ニック司祭を兵舎の来客室へ誘導して。」
「わかった。」
レオナは、報告書の山を想像しながら兵舎へと戻った。
「･･･なんだここ。」
一方アルマ。コニーの出身村。ラガコ村は違和感しかなかった。
「どうかしたんですか？」
コニーが立ち尽くすほうへ、アルマが歩みを進めるとゲルガーが着いてきた。
「考えてみろよ。死体も無けりゃ血痕もみあたらねぇ･･･。」
アルマは瞳孔を揺らがせたまま、コニーの見つめている巨人に遭遇した。
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小西 利音(プロフ) - ナルさん» コメントありがとうございます！ミルミハになってました？！すみません指摘ありがとうございます (2019年7月3日 2時) (
レス) id: 0660aea05f (このIDを非表示/違反報告)
ナル - すごく面白かったです！！更新頑張って下さいあと、ミルミハ区ではなく、エルミハ区ですよ!! (2019年6月21日 17時) (レス) id: 4a1c354212 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小西利音 | 作成日時：2017年4月11日 12時
