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第92話(1/25 改稿しました) ページ45

主人公side




「Aが教科書を、開いてる……!?」



あの後、桜乃ちゃんを送り届けた俺は、まず教科書を探すことから始め、リビングで教科書を開いている。
その姿を見てしまった乙女は、さっきの言葉の後に「この世の終わりだわ」と両手をわなわなさせて絶望していた。


「……中間テスト、来月だろ?」

「そうね。……って、中間テストになんで中学三年生の教科書を開いてんのよ!」


あり得ない、馬鹿すぎ!
金切り声をあげている乙女は、俺が今手にしている中三の数学の教科書を指差していた。


「もしかして、この間の喧嘩で一斗缶で頭ぶん殴られたって言ってたけど、その所為じゃないわよね?」

「んなわけあるか。……桜乃ちゃんの中にいる俺は、勉強が出来るらしいんだ……」

「は?」


目を点にしている乙女。
そんな乙女を前に、俺はうすら笑う。


「実は、桜乃ちゃんは俺の失言を覚えていたんだ」

「いつのよ」

「初めて会った日。あの時、勉強教えられるって言っちまったから、あの子の中で俺は勉強が出来るらしくて。しかもそれを、あんなキラキラした瞳で言われちゃったら、現実にするっきゃないだろう!!?」


ダンッ!

思わず伏せながらダイニングテーブルを叩けば、引っ張り出したのは中三の教科書と、高一、高二、高三の折り目すら付いていない教科書が少し跳ねた。


「はい、馬鹿決定」

「なんとでも言え!幸い中間テストまで三週間あるんだ、何とかしてやるぜ」

「まぁ、中三の途中までは秀才だったんだし、私に似て地頭良いんだから赤点回避くらいは何とかなるんじゃない?」

「やるなら上位目指す」


桜乃ちゃんに心の中であっても『嘘、Aさんて勉強出来なかったんだ、幻滅……』なんて思われたくはない。


「うわ、無謀」

「言ってろ……、てか範囲どこ?」

「そこからかよ」


乙女が鞄からプリントを出す。
受け取ろうとしたら、プリントではなく空気を掴んだ。


「は?」

「タダで教えてあげないわ。等価交換よ?」


そう言いながら不敵に笑う乙女。
嫌な予感しかしないが、桜乃ちゃんの理想を壊さない為には致し方がない。


「……、テストが終わったら、でいいか?」

「勿論よ!Aにしか出来ないこと、やってもらうんだから!」


そう満面の笑みを浮かべる乙女からプリントを受け取り、そのテスト範囲を見て絶望する。

赤点回避すら、危ういかもしれねぇ。

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バンビ(プロフ) - 真理さん» 現在更新のペースがかなりゆっくりになってしまっていますが、時間を見つけて更新をしていきますので、今後ともよろしくお願い致します。 (1月25日 23時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
真理 - バンビさん» 続きまだですか? (1月24日 7時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - リコさん» ありがとうございます。今後も楽しみにして頂ける様に更新していきます。 (2021年7月18日 11時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
リコ(プロフ) - 続きを楽しみにしてます! (2021年5月9日 6時) (レス) id: 8b5e530447 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - 紗衣さん» ありがとうございます。非常にゆっくりな更新になっていますが、楽しみにして頂ける様に頑張ります。 (2021年4月10日 0時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:バンビ | 作成日時:2020年9月4日 12時

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