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第91話( 1/25 改稿しました) ページ44

主人公side




連絡を入れていた時間よりも、早く着いた。

桜乃ちゃん専用のヘルメットを抱えたまま、迎えに来たとメッセージを送ると、彼女は長い三つ編みを揺らしながらすぐにやって来る。

鞄を抱えて、蛍光ペンを持った状態で、だったが。

バイクに跨ったままの俺の目の前にやって来て「お待たせしました!」と満面の笑みを浮かべる桜乃ちゃんに、待っていないことを伝える前に別の言葉が出ていた。


「勉強でもしてたのか?」

「え?」

「蛍光ペン、持ってる」


目を瞬かせる桜乃ちゃんに、蛍光ペンを指差すと、彼女は恥ずかしそうに慌てていた。
抱えていた鞄に蛍光ペンを入れて、ふにゃりと笑う姿に自然と口元が緩む。


「も、もうすぐ中間テストで……っ」

「あー、そんな時期か。……俺もあった気が」


どっかで誰かが言っているのを聞いた気がした。

そいつは今回のテストは難しいらしいとか言っていたけど、俺には関係ない。
とりあえずテストは受けてはいるが、授業を聞いていないから赤点だらけなので、今回も同じ。

ま、今更勉強したところで、時間の無駄だしな。

勉強を頑張っている桜乃ちゃんを前にそんな発言を飲み込むと、彼女は上目遣いで小さな口を開く。


「私は、中学生になってから初めてのテストだから少し緊張しているんですけど、Aさんはどうですか?」

「あー……まぁ、そうだな」


いつも通り適当に名前書いて終わりにするから赤点じゃね?
俺がそんなことを言い出す前に、桜乃ちゃんが言ったんだ。


「あ、でもAさんなら勉強も簡単に出来ちゃいますよね!」

「へ?」


目を輝かせて言う桜乃ちゃん。
先程の様子はなく、まるでヒーローを見るような視線を俺に向けている。

なんか、酷い誤解をされている気がしてやまない。


「だって、Aさんと初めて会った時言ってたから。勉強も教えられるって。それって、勉強が出来る人じゃないと言えない言葉ですよね!」


あー……。
なんか口走ってた気がする。

俺が言ったそんな言葉を覚えている桜乃ちゃんが愛おしい、そんな感情を上回るほどの焦りが俺を襲う。


「私も、Aさんに負けないくらい勉強がんばりますね!」

「お、おぉ」

「家に帰ったらお勉強しなくちゃ!」


やる気に満ちた表情をする彼女にヘルメットを被せる。
驚きの声をあげる彼女をバイクに乗せ、俺は焦りを隠すように笑う。


「俺も勉強するから、今日は早く帰らなくちゃだな」


今の声、震えてねぇよな?

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バンビ(プロフ) - 真理さん» 現在更新のペースがかなりゆっくりになってしまっていますが、時間を見つけて更新をしていきますので、今後ともよろしくお願い致します。 (1月25日 23時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
真理 - バンビさん» 続きまだですか? (1月24日 7時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - リコさん» ありがとうございます。今後も楽しみにして頂ける様に更新していきます。 (2021年7月18日 11時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
リコ(プロフ) - 続きを楽しみにしてます! (2021年5月9日 6時) (レス) id: 8b5e530447 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - 紗衣さん» ありがとうございます。非常にゆっくりな更新になっていますが、楽しみにして頂ける様に頑張ります。 (2021年4月10日 0時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:バンビ | 作成日時:2020年9月4日 12時

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