第83話 (胸糞注意。読む際ご注意下さい) ページ36
南side
ミレイに聞いた計画を奪って、東の大切な子に会った。
純粋で、何も知らなそうな子。
大人しくて、汚れを知らなそうな無垢な少女。
まるで、雛鳥のようで、守らなくてはいけなそうな。
だから、教えてやった。
君の好きな男は、危ない奴だと。恐ろしい存在だと。
そしたら、彼女は呆然としていた。
顔を青くさせて、唇を震わせて。
……そんな少女の姿に庇護欲が駆られたのは、少女が可憐で小動物のような見た目をしていたからだろう。
「なぁ、東」
満身創痍……には程遠い東。
あの頃と同じように、東は一人なのに、大人数を相手をして傷だらけなのに、普通に立っている。
_______まじ、化物みてぇな奴。
「お前は、あいつを覚えてるか?」
「あいつ?」
「お前が、無理な練習で肩を壊して、テニスが出来なくなった男だよ」
覚えているだろ?
あいつは、部活中は一番お前の側にいて、天才のお前を信頼してたんだから。
「どいつだよ」
笑いながら、髪を掻き上げた東。
さも、記憶にないと言わんばかりの表情で。
化物相手に、感情的になったらあの頃の二の舞になるって分かっていた。
冷静に判断しなければ、隣町を牛耳っている俺だとしても、化物みてぇな東を倒すことなんて出来ないことは分かっている。
自分から振った話題。
挑発的な東に、気付けば俺は飛び掛かっていた。
思い切り振りかぶった拳は、東の綺麗な顔面を殴り飛ばし、どこからか飛んだ血が握った拳を赤くする。
普段なら殴った相手は転がるはずなのに、思い切り体重を乗せて殴り抜いたって言うのに、東はその場で踏ん張り目に見えないほどの素早いモーションで殴り返してくる。
思い切り殴られた顔面からは嫌な音がして、口の中に何か固い物が転がった。
ああ、目が回る。頭がグラグラする。
「前よりは、マシになったな?」
あの頃なら、この一発でブラックアウトだっただろう。
あの頃と同じで、東の拳は重くてえげつない。
俺は喧嘩が強くて、負け知らずだった。
上級生だって簡単に沈めて、他校からも高校生からも恐れられて。喧嘩の強い悪友だって、沢山いた。
だからあの頃、頭角を見せ始めた東を、病院送りにできるって過信してたんだ。
口の中にある異物を吐き出せば、血と差し歯が地面に転がった。
「相変わらず、えげつない威力だな」
強気に笑う俺の声は、震えていないだろうか?
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バンビ(プロフ) - 真理さん» 現在更新のペースがかなりゆっくりになってしまっていますが、時間を見つけて更新をしていきますので、今後ともよろしくお願い致します。 (1月25日 23時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
真理 - バンビさん» 続きまだですか? (1月24日 7時) (レス) id: e1f8464f5a (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - リコさん» ありがとうございます。今後も楽しみにして頂ける様に更新していきます。 (2021年7月18日 11時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
リコ(プロフ) - 続きを楽しみにしてます! (2021年5月9日 6時) (レス) id: 8b5e530447 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - 紗衣さん» ありがとうございます。非常にゆっくりな更新になっていますが、楽しみにして頂ける様に頑張ります。 (2021年4月10日 0時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:バンビ | 作成日時:2020年9月4日 12時